研究課題/領域番号 |
16H02598
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
縄田 栄治 京都大学, 農学研究科, 教授 (30144348)
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研究分担者 |
矢内 純太 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00273491)
白岩 立彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (30154363)
樋口 浩和 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助手 (50303871)
廣田 勲 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (50572814)
谷田貝 亜紀代 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (60353447)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 熱帯作物 / 地球温暖化 / 食料生産 / 環境保全 / 持続性 |
研究実績の概要 |
今年度は、下記の4小課題を実施した。 1. 現地調査及び農業統計データ、リモートセンシングデータを活用した現状解析: 東南アジア北部(大陸部山地部)のうち、特にタイの1950年以降65年間の気象データを収集し、データベース化を進めた。気象データは、気温・降雨・日照時間の日データを収集した。当初予定していた、東アジア南部(台湾、我が国西南部、中国東南部)、南アジア北部(インド亜大陸北部)については、収集に必要な人員を確保できず、次年度に実施することとした。また、中国東南部については、収集の困難さから調査対象から外した。 2. 土地生産力モデルによる栽培拡大可能地域の推定: 上述の地域のうち主として東南アジア北部を対象に、土地生産力モデルへの入力データを収集した。また、タイにおいて、チェンマイ大学農学部(タイ)と共同で設営した、タイ北部ナーン県の調査地で、モデル検証のための現地調査を実施し、斜面農地において、トウモロコシを中心とした、畑作が進行していることを明らかにした。 3. 栽培拡大の現状と将来の栽培拡大可能地域の可視化: 対象地域のうち、東南アジア北部のベースマップのデジタル化を継続した。小課題2の実施過程で作成した気象データベースについても、地図化を進め、降雨傾向の変動を解析した結果、降雨の顕著な変化は認められなかったが、不安定性が上昇したと思われる測定点があった。現在、その詳細の分析を進めている。 4. 高緯度・高標高地域に生産を拡大する際の問題点の抽出と解決策の提示: 高標高地域への生産拡大に関する問題に対して、タイ北部ナーン県で環境負荷の実態を調査した。タイ北部ナーン県に設定した調査地で、雨季後半の土壌浸食の実測を行った。また、土壌浸食モデルの検討を行い、タンクモデルを利用して、降雨の表面流去量を推定するモデルを開発することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
どの課題も、多少の遅滞はあるものの、概ね、順調に進んでいる。気象データや農業統計の収集について、一部の対象国・地域では、少し遅れたり、困難さから断念したが、その分、東南アジア北部に注力したおり、この地域では、予定より早く進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度に続き下記の4小課題を実施する。 1. 現地調査及び農業統計データ、リモートセンシングデータを活用した現状解析: 東アジア南部(台湾、我が国西南部)、東南アジア北部(大陸部山地部)、南アジア北部(インド亜大陸北部)の農業統計データ及び気象データ、リモートセンシングデータの収集・データベース化を継続する。リモートセンシングデータについても、前年度同様、栽培期間の晴天日の衛星画像・空中写真を収集する。なお、今年度は、インドネシアの中高標高地域を調査地に加える。 2. 土地生産力モデルによる栽培拡大可能地域の推定: 上述の地域を対象に、土地生産力モデルへの入力データ(気象データ以外の土壌・地形特性データ)収集を継続する。また、タイにおいて、昨年度、チェンマイ大学農学部と共同で選定した北部ナーン県で、モデル検証の調査を継続する。 3. 栽培拡大の現状と将来の栽培拡大可能地域の可視化: 対象地域のベースマップ作製・デジタル化を継続する。また、地球温暖化による熱帯作物の栽培地域拡大の現状のデータの地図化を継続する。また、小課題2については、それぞれの作物モデルの進行具合に合わせて、地図化作業を継続する。さらに、小課題2の実施過程で作成する気象データベースについても、地図化を進め、温暖化進行の現状を、気温・日射量・気温の地域間差異を可視化することによる解析を継続する。 4. 高緯度・高標高地域に生産を拡大する際の問題点の抽出と解決策の提示: 小課題1・2の進行に合わせて、キャッサバ・サトウキビについて、土地生産力推定モデルを台湾・インド北部で適用する。一方、高標高地域への生産拡大に関する問題に対しては、タイ北部ナーン県を中心に、環境負荷の実態を調査してモデル化する。タイ北部ナーン県に選定した調査地で、土壌浸食の実測を行い、開発済みのモデルの修正及び検証を行う。
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