研究課題
3年間の計画研究の2年目にあたる当該年度では、1年目に構築した生体イメージングを用いた新規in vivo薬効評価系を用いて、以下の具体的な解析を行った。生体イメージングシステムを駆使した関節リウマチ治療の生物製剤のin vivo薬効評価近年、様々な生物学的製剤が関節リウマチ治療において臨床応用され、その骨破壊抑制効果が示されているが、in vivoにおける各種薬剤の作用機序の差異については不明な点が多い。本研究では、生体骨イメージング技術を駆使して、生物学的製剤が破骨細胞の動態に及ぼす効果を検討した。成熟破骨細胞及び破骨前駆細胞を蛍光標識したマウスの骨膜下にLPS (20 mg/kg) を投与し、炎症性骨破壊を誘導した。また、LPS投与当日に、抗TNFα抗体 (5 mg/kg)、抗IL-6受容体抗体 (10 mg/kg)、T細胞選択的共刺激調節剤 (CTLA4-Ig) (10 mg/kg)を腹腔内投与し、5日後に生体骨組織内を二光子励起顕微鏡で観察した。その結果、抗TNFα抗体投与群および抗IL-6受容体抗体投与群では、成熟破骨細胞の骨吸収能が低下していた。一方、CTLA4-Ig投与群では、成熟破骨細胞の動態に変化を認めなかったが、破骨前駆細胞の運動能が亢進し、血中へ還流していく様子が観察された。さらに、CTLA4-Igの標的分子CD80/86は、成熟破骨細胞よりも破骨前駆細胞に強く発現していることが分かった。抗TNFα抗体および抗IL-6受容体抗体は主に成熟破骨細胞、CTLA4-Igは破骨前駆細胞に強く作用し、それぞれ異なる作用機序で骨破壊を抑制している可能性が示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の研究計画の通り、生体イメージングに基づいた免疫薬理の評価系の確立、およびそれを活用した、実際のin vivo薬理作用の評価についても成果を挙げ、すでに論文化にも成功していいるため。
これまで確立・開発したin vivo免疫薬理学解析手法を基に、さらに多種多様な新規薬剤の評価を計画以上に推進していく。またこの免疫薬理学における新規評価系を国内外で積極的に広めていき、新たなスタンダード評価系として確立する。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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