研究課題
昨年までに、高脂肪食負荷を与えた際の体重増加に、小腸粘膜固有層由来の2型自然リンパ球(SI-ILC2)が関与し、SI-ILC2が腸間膜由来のILC2(WAT-ILC2)と異なる性質を持つことを明らかにしてきた。SI-ILC2とWAT-ILC2に機能的差異を検討するために、それぞれの細胞を用いてRNASeq解析を行い、肥満の誘導に関わる遺伝子の探索を行った。昨年はWAT-ILC2に比較してSI-ILC2において発現が10倍以上高かったIL-2の重要性を明らかにしたが、それ以外にも、リポタンパク質の分解酵素を抑制するAngptl4やタイトジャンクションを構成するTjp1などが候補に挙がったが、決定的な証拠を得ることはできていない。WAT-ILC2がなぜ肥満を誘導しないかという点に関して考察した。過去にWAT-ILC2が褐色脂肪細胞の誘導を介してむしろ肥満の抑制に関わるという報告があることから、WAT-ILC2の移植の際には肥満の誘導活性と抑制活性が拮抗している可能性が考えられた。そこでWAT-ILC2と脂肪細胞分化の関係を検討するためにトランスウエルを用いた培養系で前脂肪細胞から脂肪細胞への分化に与えるILC2の影響を詳細に解析したところ、活性化したILC2が脂肪細胞の分化を抑制することが明らかになった。興味深いことに抑制活性は脂肪細胞の分化の途中にILC2を共存させた場合のみ観察され、分化前や分化後に共存させても影響は見られなかった。一方、WAT-ILC2の培養上清も前脂肪細胞から脂肪細胞への分化を抑制し、コラーゲン発現を上昇させるなど繊維化を誘導することが明らかになった。これらの活性に関与する分子をRNASeq解析やプロテオミクス解析によって検討しているが同定には至っていない。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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