研究課題
慢性腎臓病モデルである5/6腎臓摘出(5/6 nephrectomy; 5/6Nx) マウスの肝臓において、時計遺伝子、代謝が障害され、腎臓の線維化が促進されることを明らかにしている。そこで、5/6Nxマウスの腎臓における時計遺伝子の変容のメカニズムを臓器連関の視点から解析した。まず、5/6Nxマウスの腎臓および腎臓以外の臓器を対象に時計遺伝子Clock発現レベルを測定した。その結果、5/6Nxマウスの腎臓においてのみClock mRNAの有意な発現上昇が認められた。そこで腎臓のClock遺伝子の発現変容に関与する因子を同定するために、マイクロアレイおよび形態学的解析を行ったところ、腎臓の炎症性サイトカインやケモカイン量の増加が認められた。培養細胞にShamまたは5/6Nxマウスから採取した血清を曝露したところ、5/6Nxマウス由来の血清を曝露した群においてCLOCKタンパク質の有意な発現の上昇が認められた。次に5/6Nxマウス血清曝露時に核内発現量が上昇する転写因子を探索したところ、転写因子XがClock遺伝子発現を制御することが明らかになった。これまでに、5/6Nxマウスの肝臓においては代謝酵素の活性が変容し、レチノールの血中濃度が上昇することを明らかにしている。レチノールは受容体を介して転写因子Xの核内移行を促進することから、5/6Nxマウスの腎臓におけるClockの発現に及ぼすレチノール欠乏給餌の影響を検討した。フローサイトメーターを用いた解析の結果、レチノール欠乏給餌を行った5/6Nxマウスでは各種臓器中のCLOCKの発現レベルが上昇せず、腎臓の炎症も抑制されていた。これらの結果から、5/6Nxマウスにおける血中レチノールの濃度上昇が各臓器中のCLOCKの発現レベルを上昇させ、このCLOCKの高発現が炎症に伴って腎臓の病態を悪化させると考えられた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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