研究課題
がん診断等で注目を集めるポジトロンCT(PET)はその誕生以来40年間改善が続けられてきた。一方、微小がん・脳内異常たんぱく質の超早期検出や再生医療の可視化など、近年高まる個々の細胞の生体内挙動を追跡するニーズに応えるためには、新しい原理の診断法の発明が求められる。そこで本研究では、Whole Gamma Imaging(WGI)コンセプトを提案し、世界初の実証を目指した。WGIは、ガンマ線のすべてを計測して画像化に使うことで、ごく微量の体内物質でもリアルタイムに3次元画像化する。具体的には、Sc-44などβ+崩壊とγ線放出がほぼ同時に起こる3γ核種の利用と、コンプトンカメラ兼PET検出器の新規開発とそのリング状配置がポイントである。511keVの消滅放射線ペアとほぼ同時に1157keVの単一γ線をほぼ100%の確率で発生する半減期約4時間のSc-44は、理想的なWGI核種である。消滅放射線ペアの同時計数により限定される線分と、単一γ線のコンプトンイメージングによる円錐表面の交点から、たった1回の崩壊でも核種位置を特定できる。PET検出器リング(内径66cm、体軸長22cm、2.9x2.9x7.5mm GSOZ結晶の16x16x4層配置のDOI検出器)に散乱検出器リング(内径20cm、体軸長5cm、1.0x1.0x6.0mm GAGG結晶の24x24アレイ)を組み込んだWGI試作機を開発した。そして、1274keVガンマ線を放出する3γ核種である22Naを中心から8cm離れた位置において、3γモードで同時計数線上にプロットしたところ、半値幅で7.7mmの位置特定性能が得られた。単純逆投影(画像再構成なし)としては優れた位置特性性能が得られたが、今後さらなる精度向上に向けて検出器エネルギー分解能の改善が必要であることが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 8件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
Physics in Medicine & Biology
巻: 64 ページ: 025011-1~15
巻: 63 ページ: 215014-1~16
https://www.nirs.qst.go.jp/usr/medical-imaging/ja/study/pdf/QST_R_11.pdf