研究課題
28年度は初年度であり、フィリピン・モンゴルにおいての既存のRSウイルスのデータの解析を継続するとともに、新たにRSウイルスについてのより詳細な疫学情報を取得するための研究を開始した。具体的にはフィリピンにおいては東ビサヤ地域のビリラン島におけるコホート研究を継続するとともにRSウイルスの疫学情報を取得することに主眼をおいた研究デザインとし、コホートの規模は縮小したもののより詳細な疫学情報が取得できるようにした。また、既存のコホートデータからRSウイルスの再感染例を認めたためこれらの小児のウイルス学的解析を含めた解析を行った。さらに家族内感染を主体としたトランスミッションダイナミックスの解析も合わせて行った。またRSウイルスの遺伝子型によるウイルス量と臨床的重症度についての解析を行うとともに、フィリピン北部のバギオ市で実施したサーベイランスのデータからRSウイルスの罹患率を計算した。モンゴルにおいては過去に実施したドルノゴビ県でのRSウイルスのデータを解析するとともに、ウランバートル郊外のバガノール地区におけるコホート研究を実施した。これによりフィリピンとモンゴルという気候や人口密度などの条件の違う地域でのRSウイルスのトランスミッションダイナミックを比較検討できる体制が整った。日本では秋田県大館市で高齢者を対象としたRSウイルスの研究を開始したが、実施地域でRSウイルスの流行がほとんど起きなかったためにデータの取得にはいたらなかった。
2: おおむね順調に進展している
日本の大館市ではRSウイルスの流行をほとんど認めず、疫学データの取得にいたらなかったが、フィリピン・モンゴルではコホート研究を実施することでRSウイルスについての詳細なデータが得られ、既存のデータの解析も進んでいる。
日本の大館市における高齢者を対象とした研究は中止を含めて検討することとし、特に低・中開発国の小児でのRSウイルスの疫学を明らかにすることに集中することとする。このためフィリピン・モンゴルだけではなくアフリカのザンビアでのRSウイルス研究の立ち上げを検討する。フィリピン・モンゴルにおいてはコホート研究を主体とした研究を継続するとともに疫学データの解析も進めていく。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
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