研究課題
本研究では、『統合分子病態仮説』の提唱にむけて、申請者が2007年に発表して以後、現在に至るまで研究を続けて来た『Hippo pathway障害による能動的ネクローシス』を、機能障害から細胞死に至る連続的変性過程を統合的に説明する分子病態として概念を拡張し再定義する。加えて、Hippo pathwayへの分子的介入によるマウスモデルの治療実験を行い、アプローチの実効性を証明して、本研究の次の段階においてトランスレーショナル研究につなげることを目的とする。平成29年度までに、下記の3項目を行った。1)網羅的手法による神経細胞機能障害を誘導する遺伝子の同定、2)Hippoネクローシスを直接誘導する鍵分子の同定、3)機能障害からHippo細胞死へシフトする分子スイッチ機構の解明。この結果、1)2)からは、Hippo細胞死を制御する新たな候補分子として、YAP, LATS, Plk1に加えて、hnRNPA2B1, hnRNPAB, Httを得た。また、YAP発現ウィルスをハンチントン病モデルマウスに投与することにより、Hippo細胞死をin vivoで抑制できることを示した。また、3)については、YAPの異なる部位のリン酸化(Thr77とSer127)が結合相手になる転写因子をTEADからp73へスイッチする機能に関わることを明らかにした。さらに、本年度は、Hippo細胞死がin vivoで起きていることを、ハンチントン病モデルマウスおよびヒトハンチントン病患者死後脳の超微形態観察によって示し、YAPdeltaC(機能的にはYAPと同等と考えられる)の発達期の発現が成熟後の神経変性過程に影響することをマウス遺伝学的に示した。
1: 当初の計画以上に進展している
平成29年度計画の大半は、平成28年度に終了し論文化した。さらに、平成30年度計画に当初含まれなかったヒト患者・モデルマウスの脳の超微形態観察により、in vivoでのHippo細胞死・TRIADの存在を証明した。
最終年度に向けて、当初計画に沿って、疾患を超えたHippo細胞死・TRIADの神経変性への関与を解析する。
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