研究課題/領域番号 |
16H02674
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
森田 茂樹 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (70243938)
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研究分担者 |
古川 浩二郎 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (90264176)
伊藤 学 佐賀大学, 医学部, 助教 (50555084)
迎 洋輔 佐賀大学, 医学部, 助教 (90746570)
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 特任教授 (50420609)
荒井 健一 佐賀大学, 医学部, 特任助教 (40752960)
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
戸田 修二 佐賀大学, 医学部, 教授 (80188755)
五條 理志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90316745)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 組織工学 / 幹細胞技術 / 心血管組織 / 組織内細胞動態 |
研究実績の概要 |
当研究室では従来、古典的な細胞自己凝集現象(スフェロイド形成)やスフェロイド融合現象を利用し、任意の3次元組織を構築する技術を開発してきた。組織工学技術にヒトiPS 由来細胞などの幹細胞技術を応用することで移植可能な機能的な心血管組織を開発すると共に、その組織の成熟過程における細胞動態を解明することを本研究の目的としている。ヒトiPS由来心筋細胞を用いて大型な組織を作製するために大量のiPS由来心筋細胞が必要となる。簡便で安価なiPS由来心筋細胞を入手するため、iPS細胞253G1株でPSC Cardiomyocyte Differentiation Kitを用いた分化誘導とMACSソーティングによる心筋細胞の濃縮を行った。分化誘導開始後から14dayにて心筋細胞の濃縮とフローサイトメーター(MACSQuant Analyzer)を使いTnT陽性細胞の測定を行った。PSC-derived Cardiomyocytes Isolation Kitによる濃縮後の純度が74%とやや低い傾向であったが、初期値の細胞数の量がやや少ないことや細胞解離が不十分なことが原因と推測された。iPS由来心筋細胞及び線維芽細胞、iPS由来血管内皮細胞を混合させたより高機能な混合型心筋スフェロイドの作製を用いて拍動する心筋構造体の作製に成功した。血管様構造体の作製においては、線維芽細胞を主体とするスフェロイドを積層した構造体をバイオリアクターで成熟させることで、ヒト正常血圧の10倍以上の力学的強度(圧力破砕試験)を確認し、大動物実験において1か月以上の血流開存を得た。今後さらに心筋及び血管組織型スフェロイドの最適化や血管様構造体の構築法、成熟方法を確立することで、移植後のより長期的な検証へと発展させたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外来異物を一切含まずScaffold freeな状態で立体細胞構造体を構築する上で、基盤となる心筋・血管組織型スフェロイドの最適化において重要な結果を得ることができた。、血管構造体においては構築法、成熟方法の改良によって、移植において十分な力学的強度が得られてきている。一方、心筋構造体に関しては大量のiPS由来心筋細胞の獲得のための実験や、混合型心筋スフェロイドの作製から心筋構造体の作製に成功しているが大型化まで至っておらずやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究計画は遅れているものの、体制は整えられており、引き続きヒトiPS細胞から機能的心筋組織の構築法とバイオリアクター内での組織成熟方法を確立し、組織の大型化に向けて研究を進める。血管構造体においては構造体の成熟方法をさらに改良することで、移植後のより長期的な検証へと発展させたい。
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