研究課題/領域番号 |
16H02683
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 茂彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (30187728)
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研究分担者 |
中邨 智之 関西医科大学, 医学部, 教授 (20362527)
内藤 素子 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (30378723)
野田 和男 京都大学, 医学研究科, 助教 (50633161)
綾 梨乃 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (90469643)
江野尻 竜樹 京都大学, 医学研究科, 助教 (00748270)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 皮膚の再生医療 |
研究実績の概要 |
まず、ウサギの線維芽細胞の最適な採取場所を検討するため、7週齢日本白色家兎の顔面洞毛部(神経堤由来)と背部(側板中胚葉由来)から線維芽細胞を採取した。培養中の増殖能は同程度であった。移植用には後頚部の真皮深層から線維芽細胞を採取した。 次に、投与するLTBP-4が免疫反応を起こさないようウサギのLTBP-4タンパク質を作製するため、ウサギLTBP-4遺伝子をサブクローニングした。またTGF-beta1を含まないリコンビナントLTBP-4を作成するため、ウサギLAP-TGF-beta1遺伝子もサブクローニングし、LAP部分のみの変異遺伝子をサブクローニングした。HEK293T細胞へウサギLTBP-4とウサギLAPを遺伝子導入し、安定発現株を選別し、その分泌上清からリコンビナントLTBP-4を精製した。 ウサギへの移植実験として、①コラーゲンスポンジのみの群、②LTBP-4添加群、③線維芽細胞併用群、④LTBP-4添加+線維芽細胞併用群、の4群で実験を行った。また小孔径スポンジと大孔径スポンジの比較も行った。9週齢日本白色家兎の背部真皮下層に各群のスポンジを埋入した。移植部位の確認のため蛍光色素付加ポリスチレンビーズを同時に移植した。3週後、6週後、12週後に移植部を採取しEVG染色を行ったところ、いずれの群も弾性線維の再生は見られなかった。 事前計画していなかったが、臨床応用へ向けてLTBP-4含有コラーゲンスポンジの作製が可能かどうかの検討を行った。ヒトリコンビナントLTBP-4水溶液を含んだコラーゲンスポンジを凍結乾燥させ滅菌した。これを用いてヒト皮膚線維芽細胞の3次元培養を行い、結果を現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回のウサギへの移植実験では、ウサギ真皮下層から採取した線維芽細胞を用いた。ウサギの正常皮膚では真皮深層より真皮浅層に弾性線維が豊富に存在することがわかったので、線維芽細胞の採取部位の変更を検討している。またウサギLTBP-4タンパク質については、弾性線維形成促進作用があるかどうかの確認をヒト皮膚線維芽細胞の2次元培養を用いる方法に変更することを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
今回は、ウサギ皮内への埋入部位を通常弾性線維が存在しない真皮下層としたが、移植細胞の弾性線維形成能やリコンビナントタンパク質弾性線維形成促進作用が不明であり、ポジティブコントロールがない実験となった。一方、真皮浅層では瘢痕内に弾性線維の再生が見られた。真皮浅層はもともと弾性線維が豊富で、線維芽細胞の弾性形成能が高いと思われた。移植用の細胞採取を真皮下層から真皮上層へ変更して再度実験を行う。またスポンジを真皮浅層へ埋入する実験を行うことによって、瘢痕内の弾性線維がポジティブコントロールとなるので、埋入部位を真皮浅層へ変更して再度実験を行う。 LTBP-4含有コラーゲンスポンジについては、複合基材として新たに開発を進めるため、引き続きin vitroの実験を追加して行う予定である。
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