研究課題
まず、ウサギ線維芽細胞が弾性線維形成能を持つことを確かめるため、弾性線維が豊富に存在する真皮浅層から線維芽細胞を採取した。また、強力な弾性線維形成促進作用を持つことがわかっているヒトのLTBP-4+LAP-TGF-beta1タンパク質を用いて、2次元培養でウサギの線維芽細胞が弾性線維を形成することができるかどうかを実験した。その結果、ヒトのLTBP-4+LAP-TGF-beta1を添加した場合に弾性線維の形成が見られたが、ヒト新生児由来の線維芽細胞に比べると少量であった。次に、ウサギへの移植実験として、コラーゲンスポンジに細胞を播種したものに、①リコンビナントタンパク質添加なし群、②ヒトLTBP-4添加群、③ヒトLTBP-4+LAP-TGF-beta1添加群、の3群で実験を行った。また3次元培養に用いるコラーゲンスポンジは小孔径スポンジと大孔径スポンジの両者を用いて比較検討した。9週齢日本白色家兎の背部真皮中層に各群のスポンジを埋入した。移植部位の確認のため、あらかじめ線維芽細胞に蛍光色素標識を行った。6週後に移植部皮膚を採取しEVG染色を行ったところ、いずれの群も弾性線維の再生は見られなかった。LTBP-4+LAP-TGF-beta1添加群では、コラーゲン線維の形成が著明に増加していた。一方、臨床応用へ向けてLTBP-4含有コラーゲンスポンジの試作を行い、in vitroでその評価を行った。作製方法はリコンビナントLTBP-4水溶液を含んだコラーゲンスポンジを凍結乾燥させ滅菌した。これを用いてヒト皮膚線維芽細胞の3次元培養を行った。3週間後に凍結切片を作製し、エラスチンの免疫染色を行って弾性線維の形成を評価したところ、LTBP-4を含有させていないコラーゲンスポンジ群と比較して、LTBP-4を含有させたコラーゲンスポンジ群では、弾性線維の形成が促進されることが確認できた。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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