研究課題
研究代表者らの研究結果から、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド (PACAP)はその受容体(PAC1R)を介した神経細胞死抑制作用および神経再生・新生作用を持つことが明らかになっている。本研究ではPACAPの神経細胞死抑制作用及び神経再生・新生作用の実体解明と臨床応用を目的とし、各種関連遺伝子改変マウス、特異的阻害剤等を用いて研究を行う。さらに脳虚血、脊髄損傷などのヒトの神経傷害に対する治療薬の開発につなげるために、霊長類のコモンマーモセットを用いた橋渡し研究を行う予定である。本年度は、培養下での虚血性神経細胞死モデルを立ちあげたので、今後はこの実験系を用いてマウスやマーモセットなどの胎児の神経系にて実験を行なっている。我々の研究室では、培養実験系でPACAPによるPC12細胞を使って細胞死防御機能の検索を行なってきた。すでに我々はPACAPをPC12細胞に投与すると細胞死が抑制されることを明らかにしており、さらにDNA アレイによって遺伝子解析を行なったところ、新規軸索伸長因子であるCRMP2の発現が顕著にみられたことを報告している。さらに我々はその詳細な細胞内分子機構を解析したところ、PACAPがPAC1Rを介してシグナル伝達を行い、最終的にCRMP2の脱リン酸化がPACAPによって生じま、細胞死の抑制と軸索伸張の起きることをを明らかにした。またCRMP2のリン酸化により細胞死が誘導されることも明らかにした。さらに当教室ではPAC1Rの遺伝子改変動物が作出できたので、現在この動物を繁殖させて動物実験および培養実験に用いることを計画している。またVPAC1R, VPAC2RなどのPACAP受容体のKO マウス作出についても生理学研究所の平林先生と共同で研究を行なっており、より詳細なPACAPによる分子制御機構の解析を行う予定である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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