研究課題
1.骨髄細胞由来骨代謝回転促進因子の同定 [小林,山下,溝口(連携研究者)]:若齢と老齢マウスとの併体結合における骨代謝回転の解析:全身性に赤色蛍光蛋白質DsRedを発現するマウスと野生型マウスを併体結合した.併体結合した野生型マウスの抹消血を採取し,FACSで解析したところ,33%の細胞がDsRed陽性であった.すなわち,併体結合が成功したことを意味する.2.Wnt阻害因子Aによる骨量増加作用の解明 [小林、中村(信州大学整形外科、研究協力者)]:Sfrp5による骨芽細胞分化促進作用の解析:リコンビナントSfrp5を骨芽細胞の培養系に添加し,石灰化を促進することを確認した.Sfrp5がどのようなシグナル系を活性化するか,Real-time PCR 法で解析した.その結果,遺伝子Xの発現が上昇していることが明らかになった.3.Wnt5a-Ror2 シグナルによる破骨細胞活性化機構の解明(上原、小林): Wnt5a-Ror2-Rhoシグナルの下流で機能する可能性のあるPkn3の遺伝子欠損(KO)マウスの骨を解析した.micro CTを用いて,大腿骨の骨量を解析した結果,8週齢Pkn3 KOマウスは,骨量増加を呈した.また、骨形態計測および血中骨代謝マーカーの測定を行ったところ,骨吸収不全による骨量増加を示すことを明らかにした.4.Sclerostinの発現を抑制する破骨細胞由来因子の同定(山下, 小林):破骨細胞の培養上清を骨細胞およびSclerostinを恒常的に発現するUMR106細胞の培養に添加した.ウェスタンブロット法でSclerostinの発現を検討した.その結果,破骨細胞の培養上清中には,sclerostinの発現を抑制する因子が含まれることを見出した.
2: おおむね順調に進展している
平成28年度は,以下の項目を実施する計画を立てた.1. 骨髄細胞由来骨代謝回転促進因子の同定①若齢と老齢マウスとの併体結合における骨代謝回転の解析.2. Sfrp5 による骨量増加作用の解明 ①Sfrp5 による骨芽細胞分化促進作用の解析. ②Sfrp5 受容体の解析. 3. Wnt5a-Ror2 シグナルによる破骨細胞活性化機構の解明① Pkn3 KO マウスの解析.4. Sclerostin の発現を抑制する破骨細胞由来因子の同定.1. の併体結合マウスの解析は難航することが予想された.しかし,併体結合が成功したので,今後実施数を増やすことが可能である.その他の解析は,おおむね予定どおりに進行している.
平成29年度は,1. 骨髄細胞由来骨代謝回転促進因子の同定①若齢と老齢マウスとの併体結合における骨代謝回転の解析をする人員を増やし,精力的に解析する予定である.2. Sfrp5 による骨量増加作用の解明 ①Sfrp5 による骨芽細胞分化促進作用の解析. ②Sfrp5 受容体の解析については,発見した標的シグナルを中心に解析を進めていく. 3. Wnt5a-Ror2 シグナルによる破骨細胞活性化機構の解明① Pkn3 KO マウスの解析.4. Sclerostin の発現を抑制する破骨細胞由来因子の同定.については,順次,論文の公表をしていく予定である.
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件)
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