研究課題/領域番号 |
16H02696
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小松 浩子 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 教授 (60158300)
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研究分担者 |
山口 拓洋 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50313101)
小松 康宏 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60195849)
中澤 仁 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (80365486)
住谷 昌彦 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80420420)
矢ヶ崎 香 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 准教授 (80459247)
辻 哲也 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (90245639)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | がん患者 / 末梢神経障害 / がん薬物療法 / 無作為化比較試験 / 服薬アドヒアランス / 転倒 |
研究実績の概要 |
1.「がん安全・安心ケア」モジュールの基盤となる<服薬自己管理支援プログラム>の検証:「がん安全・安心ケア」モジュールの基盤となる<服薬自己管理支援プログラム>は解析、論文化を終え、国際学術誌に投稿した。現在査読中である。 2.「がん安全・安心ケア」モジュールの効果検証 1)がん経験者の転倒リスクの特徴に関する調査:転倒高リスク患者の転倒未遂や転倒の特徴を明らかにするために、末梢神経障害のあるがん患者を対象にモバイル・ウェアラブルデバイス(Apple社スマートフォンiPhone およびスマートウォッチ)を用いたアプリケーションを機器上で動かして、各種のセンサデータ(加速度、角速度、行動認識等)を継続的に収集した。現在までに8名のデータ収集を終えた。中間解析の結果、8名 は全期間 (2週間) デバイスを装着し、「転倒」は計7回、期間中平均0.9回/人の転倒、一日あたり平均0.06回/人に相当した。加速度、位置情報、行動認識等のセンサデータとその特徴量からフレーム毎の転倒を推定する機械学習モデルの検証については、転倒の頻度を増やし分析の精度を上げる必要性が示された。 2)がん経験者の転倒予防eケアの開発ならびに効果の検証(多施設無作為化比較試験と質的研究によるMixed Methods):1)の分析結果に基づき、「がん安全・安心ケア」モジュールの一つとして転倒予防eケアの開発を検討し、効果検証に向けて、協力施設の選定、調整をすすめている。 3.がん安全・安心ケアの医療経済的効果検証の基盤となる概念モデルを作成 医療経済的効果検証に関する文献レビューを進めた。その結果、転倒に伴う緊急受診・診療に伴い医療費のほか、心理的負担、社会的孤立など関連要因として検討する必要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
末梢神経障害のあるがん患者を対象にモバイル・ウェアラブルデバイス(Apple社スマートフォンiPhone およびスマートウォッチ、AWARE Framework )を用いたアプリケーションの活用による転倒高リスク患者の転倒の特徴解明に時間を要している。その理由は下記の通りである。 第一に、被験者において「転倒」という事象を主観的に判断する閾値が高い事が考えられる。「転倒しそうになった」もしくは「転倒しかけた」が、「転倒した」と被験者が判断しない場合、被験者は回答を行わない。今後の対応策として、「転倒未遂」の事象も捉えられるようなシステムの改修が考えられる。 第二に、転倒に関するアンケートを回答するユーザインターフェースの難易度が高いことが考えられる。スマートウォッチの小さな画面にて回答する方式は、ユーザビリティが低い可能性がある。ユーザビリティを上げる何らかのシステム改修が考えられる。 第三に、実験期間の総長に対して収集できたセンサデータの期間の割合いが低いことが上げられる (約50%)。iOSオペレーティングシステムの更新により設定方法が変わった事が主な原因として考えられ、システムの改修の可能性が考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
モバイル・ウェアラブルデバイス(Apple社スマートフォンiPhone およびスマートウォッチ、AWARE Framework )を用いたアプリケーションの活用による転倒高リスク患者の転倒の特徴解明については下記の対策をすすめ研究を推進する。 ・「転倒未遂」の事象を回答としてより多く獲得し、正例・負例からなる水準感のフレーム数の偏りを抑える・SMOTE、ランダムサンプリングなどの手法を用いて、水準感のフレーム数の偏りを抑えることで、機械学習モデルの作成を進める。 ・さらに、モデルの目的変数を「転倒した・しない」ではなく、転倒につながる先行指標と考えられる各種の体調 (足の痺れ、ふらつき等) に設定することで、転倒の数に依存せずにモデルを作成する。モデル構築を早急に進める予定である。 モデル構築は、がん経験者の転倒予防eケアの開発ならびに効果の検証(多施設無作為化比較試験と質的研究によるMixed Methods)の基盤となるため、注力を注ぐ。
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