研究課題
平成29年度~32年度に実施する国際GEOTRACES(海洋の微量元素・同位体による生物地球科学研究)航海を見すえ、クリーン観測に必須の船上装備、およびデータ解析技術の両面における充実を図った。特に平成29年度の実施が確定している白鳳丸KH-17-3次航海(北太平洋亜寒帯海域、主席研究員:小畑元(連携研究者))の航海計画を完成し、船上搭載機器の調整および消耗品類の準備を進めた。国際会議Goldschmist Conference(パシフィコ横浜、6/28~7/1)において、国際GEOTRACES計画に関わるセッションをコーディネートすると共に、我が国の研究成果を多数公表した。若手研究者向けワークショップにGEOTRACES計画共同議長のReiner Schlitzerを招聘し、Ocean Data Viewデータ解析法の習熟をはかった。SCOR総会(9/5~9/7)に日本代表の一人として張勁(連携研究者)が出席し、国際GEOTRACES計画の順調な進捗状況と今後の課題に関する意見交換に参加した。9/12~9/16に開催されたGEOTRACES計画DMC(データ管理委員会)およびSSC(科学推進委員会)に張勁および小畑元が出席し、我が国におけるGEOTRACES研究の進展について報告し、今後のデータ公表について意見交換を行った。平成29年度に予定されているGEOTRACES第2次データ中間取りまとめ(IDP-2017)に参加するため、我が国が主導的に取得しつつあるインド洋及び太平洋の微量元素・同位体データを取りまとめて、GEOTRACESデータセンターに提出した。日本地球惑星科学連合大会(幕張メッセ、5/22~5/26)、AOGS(アジア・オセアニア地球科学協会)(北京、7/31~8/5)、その他国内学会において研究成果を公表した。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書(平成28年4月7日提出)に記載した研究実施計画(平成28年度)の内容につき、それらのおおむね9割を完遂した。都合により、当初計画の一部(大量採水装置の整備、および海外共同研究者への海水試料送付など)を次年度以降に延期せざるを得なくなったが、5年間の計画全体に支障を生じることはない。また一方で、当初予定していなかった観測海域としてオホーツク海を含める可能性が生じ、ロシアとの共同研究としてGEOTRACES計画の拡張を検討中である(以下の「今後の研究の推進方策」を参照)。
本基盤研究(A)(海外学術調査)研究計画調書(平成27年10月提出)に沿って、5年計画の研究を着実に実施していく。研究の推進にあたっては、1)国際GEOTRACES航海への参加とデータの取得、2)国際組織(SCOR, GEOTRACES研究推進委員会など)との緊密な連携の維持、および3)国際会議・学会等における研究成果公表の3項目を主軸に据える。一方、当初は想定していなかったが、ロシア科学アカデミー極東支部太平洋海洋学研究所(POI)よりGEOTRACES計画への参入希望が平成28年度に出され、我が国と共同で、ロシア船によるオホーツク海の共同研究調査を平成30年度夏期に実施する可能性が生じた。オホーツク海は太平洋と隣接する重要海域であるが、GEOTRACES観測の空白域であり、本基盤研究との関連もたいへん深いことから積極的に検討を進めたい。ロシア船においてクリーン観測がどの程度可能かどうかなど、今後緊密に情報交換を進める予定である。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 9件) 備考 (2件)
Journal of Oceanography
巻: - ページ: -
10.1007/s10872-016-0407-8
Archives of Environmental and Toxicology
巻: 印刷中 ページ: -
Analytical Science
Estuarine, Coastal and Shelf Science
巻: 180 ページ: 160-167
10.1016/j.ecss.2016.07.002
http://www.geotraces.org/
http://www.jodc.go.jp/geotraces/index_j.htm