研究課題
1)観測データ取得・データベース作成東部インド洋・ベンガル湾において実施された白鳳丸KH-18-6次航海(11月7日~12月29日、主席研究員:升本順夫)に、研究協力者(大学院学生2名)が乗船し、クリーン海水試料採取と微量元素・同位体の分析を行った。日本海および東シナ海において実施された長崎丸NN4次航海(5月8日~16日)、長崎丸NN10次航海(7月17日~29日)、長崎丸NN-17次航海(10月5日~14日)および鹿児島丸KG-1815航海(11月15日~26日)に、連携研究者・研究協力者が乗船し、クリーン海水試料採取と微量元素・同位体の分析を行った。外洋海水中の鉛同位体比の精密測定とデータの相互検定を、米国マサチューセッツ工科大学と共同で継続実施中である。また、外洋海水中のトリウム-230およびプロトアクチニウム-231の分析を、米国コロンビア大学と共同で実施中である。GEOTRACES研究成果を国内外に公表する準備のため、GEOTRACESデータセンターへ提出する白鳳丸航海データを、JODC(日本海洋データセンター)と協議しつつ取りまとめた。2)国内外におけるGEOTRACES研究成果発表と情報交換本研究に関連する国内集会(日本地球惑星科学連合大会(5月20日~24日、幕張メッセ)、日本地球化学会年会(9月11日~13日、琉球大学)、日本海洋学会秋季大会(9月25日~29日、東京海洋大学))において研究成果を公表した。本研究に関連する国際会議(GEOTRACES科学推進委員会(7月23日~26日、台湾・台北)、ゴールドシュミット2018会議(8月12日~17日、米国・ボストン)、SCOR総会(9月3日~5日、英国・プリマス))において研究成果を公表するとともに、海外の関連研究者との情報交換を実施した。
2: おおむね順調に進展している
本研究計画の2つの主軸である「外洋調査」と「国際成果発信」の両面において、年度当初の計画をほぼ達成した。5年計画をほぼ順調に折り返すことができ、後半の2年間の研究実施に大きく弾みが付いた。国際GEOTRACES計画の国内対応体として、日本学術会議の地球惑星科学委員会のもとに、SCOR分科会GEOTRACES小委員会が設置されている。平成31年2月22日に東京大学大気海洋研究所においてGEOTRACES小委員会が開催され、国内委員12名の出席のもと、GEOTRACES計画の実施状況に関する報告や質疑が行われた。このような充実した国内組織を背景に持つことが、本計画の順調な進展に結びついている。
引き続き、「外洋観測研究」と「国際成果発信」の両方向をバランスよく推進し、国際GEOTRACES計画の最終局面にあたる。微量元素・同位体データの高い信頼性を維持するため、国内外での相互データ比較を徹底して行うとともに、迅速なデータ取りまとめと、原著論文の公表に努める。研究船の運航日数(シップタイム)は、年々減少の傾向にあるが、可能な限り観測日程を有効活用することによって、国際GEOTRACES計画実施国の中で、今後もわが国が十分な貢献をなしうるよう努力する。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 5件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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