研究課題
本研究はスバールバル、ニーオルスン、国立極地研究所の北極基地を利用し、その基地に設置したミー散乱ライダーを用いて実施する。観測は天候、昼夜を 問わずライダーを通年連続で動作させ、大気エアロゾルおよび雲のデータを連続的に取得する 。ミー散乱ライダーの観測結果から、後方散乱係数、偏光解消度、波長比の高度分布を連続的に取得する。また 同じく同基地に設置し、連続動作させている95GHz雲レーダーとミー散乱ライダーの同時観測によって得られた データを連立解析して(レーダー・ライダー法、Radar-Lidar法)氷雲粒子の個数濃度、粒子径などの微物理量を求める。この研究課題は2013-2016年度に計画された基盤研究課題「北極ヘイズが氷雲粒子濃度に与える影響に関するライダーとレーダーによる観測研究」の最終年度前年度応募を行い採択された課題であり、前研究課題の継続と発展を目指すものである。2017年度は前課題で実施していた高緯度北極ニーオルスンの国立極地研究所・北極基地におけるライダー連続観測を引き続き実施し、良好な観測結果を得ることができた。これにより対流圏エアロゾルの高度分布に関する高度分布のデータを、前課題から3年間、連続してえることができた。観測はこのように概ね良好であったが、2016年11月の定期保守の際、悪天候により厳密な光学軸調整を行うことができず、2017年春の保守まで、最適化された状態での観測を行うことができなかった。再調整に向かうための旅費を繰り越し、2017年5月に精密光軸調整を実施した。なお、最適化されていない間のデータもデータ補正を加えることにより、連続データの一部として利用できることを確かめた。3年間の連続データの解析から、エアロゾル濃度と偏光解消度に明確な季節変化が存在することが明らかになりつつある。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要で述べた通り、計画した観測は天候による光軸調整の遅れを除き、概ね順調に実施できているため。また厳密な光軸調整ができていない部分のデータも利用可能であることを確認できたため。
次年度も引き続きライダー連続観測を実施し、利用できるデータの期間延長を目指す。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
Journal of Geophysical Research
巻: 121 ページ: 14487-14512
10.1002/2016JD025310