研究課題
4月にスタートミーティングを愛媛大学で開催し,プロジェクトメンバー20名が参加した。研究代表者の榊原が6月にインドネシアを訪問し、インドネシア人主要研究協力者と研究の意義・目標や各グループの役割・課題等を共有した。7月に、調査のための打合せを、10月には平成28年度のフィールド調査報告会を実施した。のべ22名の日本人研究者が参加した。環境影響評価グループは、8~9月にゴロンタロ州北部の北ゴロンタロ県KuandangおよびSumalataの違法金鉱山周辺の河川周辺の生態系調査および分析試料採取を実施した。北ゴロンタロ県およびボネボランゴ県の鉱山周辺地域において、土壌・河川堆積物・河川水・植物等の水銀地球化学図を作成するための試料(約500試料)を採取した。また,総水銀濃度測定のための毛髪・爪試料を鉱山労働者および周辺住民から採取した(約200試料)。さらに水銀中毒調査のための問診票を作成し、鉱山労働者や住民に対する疫学的問診を行った。採取した試料をICP-MS、ED-XRF、PIXE等を用いて水銀および他の重金属濃度を測定した。社会経済評価グループは、ゴロンタロ州ボネボランゴ県における小規模金採掘による環境汚染・健康被害を軽減し、持続的な地域経済を実現させるため、現地の状況を把握するとともに、代替的な職業への就業機会を創出する上での基礎的情報の収集を行った。より具体的な情報の把握に向けて、現地研究者と合同で大規模調査を実施する方向で調整を進める。環境影響評価グループは、現地周辺において、植生調査を行うとともにシダ類およびマンゴーを中心に草本・木本類を採取した(約200試料)。現地に自生するカヤツリグサ科の植物も探索した。技術開発グループでは、天然繊維を用いた水質浄化システムをプロトタイプのデバイスを開発し、室内実験によってその性能に関する定性的試験を実施した。
2: おおむね順調に進展している
予算削減によって研究計画の一部変更が余儀なくされたが、ほぼ当初の予定通りプロジェクト研究を実施することができた。社会経済評価グループは、2016年8月にブラワ郡(ゴロンタロ州ボネボランゴ県)を訪問し、現地の小規模金採掘の状況を視察するとともに、代替的な職業に就業する際に重視する属性について、現地の一部住民を対象とした試行的調査を実施した。
(1)7月に中間総括ミーティングを愛媛大学において開催する。(2)8~9月 ゴロンタロ州南部の金鉱山周辺の現地調査を行う。①環境影響評価グループ:調査地域の鉱山南側の沿岸域および島嶼部において周辺の土壌、サンゴ礁の分布範囲および海洋生物の生態系調査を行う。魚介類の試料(約100試料)を採取。また、鉱山周辺の森林地域の動植物の生態系調査を行う。調査地域の鉱山周辺地域において、27年度と同様に水銀地球化学図作成のための試料(各約200試料)を採取。調査地域内の作物試料も採取。総水銀濃度およびメチル水銀量測定のための毛髪・爪試料を鉱山労働者および周辺住民から採取する(約200試料)。水銀中毒調査のため問診票を作成し、鉱山労働者および住民に対して疫学的問診を行う。②社会経済評価グループ:前年度の試行的調査を踏まえ、持続的な代替就業機会に関する大規模調査を、現地研究者と共同で一般市民を対象に実施する。③技術開発グループ:現地周辺において、カヤツリグサ科マツバイおよび新たに発見された水銀集積植物の栽培実験を現地の汚染土壌において実施。(3)10月~3月①環境影響評価グループ:採取した試料を愛媛大学のICP-MS・ED-XRFおよび岩手医科大学のPIXE等を用いて、水銀濃度を測定する。問診データを解析し、水銀暴露と健康問題との関連性を疫学的検討する。②社会経済評価グループ:アンケート調査で集計されたミクロデータから環境負荷の地域住民への影響および問題への対応行動等を解析する。③技術開発グループ:カヤツリグサ科マツバイの水銀に富む水溶液による水耕栽培実験を行い、水銀吸収速度、水銀濃度および生物濃集係数を解明する。また、天然繊維を用いた水質浄化システムを開発し室内実験によってその性能を試験する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (21件) (うち国際共著 12件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 14件、 招待講演 1件)
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