研究課題/領域番号 |
16H02716
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 大治 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 教授 (40242573)
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研究分担者 |
市川 光雄 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 名誉教授 (50115789)
末原 達郎 龍谷大学, 農学部, 教授 (00179102)
小松 かおり 北海学園大学, 人文学部, 教授 (30334949)
安岡 宏和 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20449292)
松浦 直毅 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (60527894)
大石 高典 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (30528724)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コンゴ盆地 / 内戦 / 交易ネットワーク / 市場経済 / 熱帯林産品 |
研究実績の概要 |
本計画は,コンゴ盆地で近年生じている内戦後の水陸交通ネットワークの変動を,地域の生態学的研究と,広域の流通経済学的研究の視点を統合して捉えようというものである。地域の人たちが直面している困難は,過酷な交易の行程に同行するのが困難であるなどの理由によって参与観察が難しかったが,本計画では,GPS利用やアクション・リサーチなどの新しい方法を用いてその実態の把握を試みる。 初年度である2016年度は,調査地であるコンゴ民主共和国において,今後の研究の基盤となるデータを収集した。研究代表者の木村は,チュアパ州ワンバにおいて,近年活発化している商品生産について調査した。まず,熱帯林中に散在する狩猟・漁撈キャンプの位置を,一村落のすべての世帯において確定した。次に,村落内における女性の蒸留酒生産および,原料となるキャッサバ畑の面積について調査をおこなった。研究分担者の松浦は,ローカルNGOの活動を調査し,商品生産の拡大と販路の展開の可能性を探った。研究代表者が指導する大学院生・高村は,そのようにして生産された商品が移出される,ワンバ周辺および中核都市キサンガニ近郊における流通網についての調査をおこなった。さらに連携研究者の武内は,マイ・ンドンベ州において,商品生産にかかわる土地囲いこみの動きについて詳細なデータを収集した。 これらの成果は,本年5月に長野でおこなわれる日本アフリカ学会第54回学術大会の,フォーラム「コンゴ民主共和国における紛争後の農村変容」において発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度は,調査のベースとなるデータを収集することができ,そのデータに基づいて,2017年度に本格的な調査をおこなう準備が整った。また,計画推進に必要な機器を購入し,使用を開始している。このように,計画はおおむね順調に進展していると言ってよい。 ただ,コンゴ民主共和国の国内情勢が,大統領選挙の帰趨によって悪化する可能性がある。コンゴ民主共和国内での調査の続行が不可能になった場合は,コンゴ共和国,ガボン,カメルーンなどにおいて水陸ネットワークの比較データを収集する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度には,昨年度収集したデータに基づいて,以下のような調査をおこなう。 (1)熱帯林中に散在する狩猟・漁撈キャンプに研究協力者が滞在し,そこでの生業活動について詳細に調査する。 (2)研究協力者が。女性の蒸留酒造りとキャッサバ生産の量的な測定をおこなう。 (3)村人にGPSを預け,歩いてもらうことによって,熱帯林中の交易路を確定する。 (4)道路・橋梁の補修および中核都市への交易船の運航に関して,研究分担者,研究協力者が参与。同行しつつ観察をおこなうという,アクション・リサーチの手法を用いて調査する。 (5)土地囲い込みの動きについて,調査を継続する。その際,可能ならばドローンによる調査もあわせておこなう。
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