研究課題/領域番号 |
16H02719
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
島村 一平 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20390718)
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研究分担者 |
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 教授 (30188750)
趙 芙蓉 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 外来研究員 (40761242)
松川 節 大谷大学, 社会学部, 教授 (60321064)
滝澤 克彦 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (80516691)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | モンゴル仏教 / 活仏 / 化身ラマ / ポリティクス / 社会主義 / シュグデン派 |
研究実績の概要 |
本研究はモンゴルのみならずインド、中国、アメリカなどを舞台にグローカルに展開されているモンゴル仏教の実践を、特に「転生活仏」誕生のポリティクスに焦点を当てて明らかにすることを目的としている。かつて清朝時代モンゴル高原には清朝公認・非公認の転生活仏が数十人いたが、こうした転生活仏が現在、次々と誕生している。そこで従来の神秘主義的な説明とは異なる活仏誕生の現実を学際的・国際的に明らかにしていくものとする。 2018年度は、島村は8月にモンゴル国においてモンゴル国立大やモスクワ大の研究協力者とともにフィールドワークを行い、反ダライ・ラマ勢力であるシュグデン派の化身ラマ(活仏)であるザワー・ダムディン氏やアマルバヤスガラン寺院のアグワン・イシサンボー活仏に面会し聞き取り調査を行った。また彼らが行っている招福儀礼の観察調査も行った。松川は同じく、モンゴル国バヤンホンゴル県にて活仏の仏教寺院(ラミン・ゲゲーン寺院,ガチェン・ラマ寺院,チンセジグト・ノモンハン寺院)の現地調査を行った。小長谷は、台湾においてかつて内モンゴルにおいて序列第一位で後に台湾に亡命した章嘉活仏(ジャンジャホトクト)にかかる調査に従事した。滝澤は、前年度に引き続き活仏アジャ・リンポチェの活動のほかに台湾においてモンゴル活仏にかかる調査をした。趙も引き続き中国内モンゴルで調査を行っている。 成果としては、4月に『季刊民族学』164号において「モンゴル仏教と化身ラマ」という特集号が組めたのは大きな成果であった。またそれぞれのメンバーが国際学会や国内学会で発表を行ったり、論文やエッセイを執筆し発表した。興味深いことに活仏の調査を通じて社会主義時代のモンゴルにおいて仏教実践が単純に抑圧されていたのではなく、呪術的な実践として維持されていたことが明らかになってきたのも大きな成果であり、本年度中に論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれのメンバーが異なるアプローチを採用しながらも有機的に研究目的に肉迫しつつあり、学会発表も行っているし論文化もしていることからおおむね順調に進展しているといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、調査を行うほかに分担者がメンバー面と向かって会い、研究の中間報告的なミーティングを行う。そうすることで来年度に予定している総仕上げの国際シンポをより有意義なものとするような方策を練っていきたい。また本年度から、新戦力として駒沢大の別所裕介氏が新たに分担者として加入した。これにより中国青海省におけるチベット語を話すモンゴル系住民の活仏信仰と実践に関する研究のさらなる進展が期待できるのではないかと考える。
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