研究課題/領域番号 |
16H02722
|
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
長野 泰彦 国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (50142013)
|
研究分担者 |
武内 紹人 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10171612)
鈴木 博之 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 外来研究員 (10593006)
高橋 慶治 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20252405)
林 範彦 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (40453146)
金 明哲 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (60275469)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | チベット・ビルマ諸語 / ギャロン語 / 羌語 / アク語 / チノ語 / キナウル語 / シャンシュン語 / 古態 |
研究実績の概要 |
1)研究の目的に鑑み、調査票による現地での記述調査(基礎語彙1300と300例文収集、音声データの記録)を下記の通り実施した。 ●長野を中国四川省に派遣。ギャロン語東部方言2種を記述し、近年の類型論研究で明らかとなった事象に関して新たな知見を得た。上記の調査との関連において、中国内の若手ネイティヴ研究者育成に資するため、4名の助教クラスにギャロン語と羌語の記述データを作成させた。●林を中国雲南省に派遣。ロロ語群に属し、従前記述資料の乏しかったアク語を記述した。また、チノ語の記述も行い、自然発話の書き起こしも併せて行った。●鈴木を中国西藏自治区と四川省に派遣。2種の未記述言語(ツァワ・ボ語、ラガン・チョユ語・チョユ語普巴戎方言)を記述した。また、それらとチベット語カム方言との関連をオスロにおいて断続的に行った。●高橋をインド ヒマチャルプラデシュ州に派遣。キナウル語パンギ方言を記述した。●武内、林、鈴木を関連する学会に派遣し、成果公開を行った。●研究協力者、池田巧を中国北京市に派遣し、ムニャ語の記述調査を行った。 2)語彙面での古態に関し、前項の調査で得られたデータをMatisoff(2003) "Handbook of Proto-Tibeto-Burman"に示されたチベット・ビルマ共通祖語形式と突合し、対応関係を全員が検討した。 3)武内と金は古シャンシュン語文献解読に向けてのコンピュータによる解析作業に着手した。これとの関連において、長野と研究協力者2名(立川武蔵&脇嶋孝彦)が新シャンシュン語語彙をポン教文献から抽出する作業を中国内及びカトマンズのポン教学僧の協力を得て開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)概要に述べた現地調査については、おおむね期待していた調査協力者が予定通り参加・協力してくれたため、進捗状況は順調である。 2)一部入領が制限されることが懸念されたが、幸い現在は治安が安定しており、特に調査に影響はなかった。 3)古シャンシュン語に関する文献学的・統計数理学的分析に関しては、そのデータ整備が完了し、解析の準備が整った。また、新シャンシュン語語彙の抽出も良い協力者を得て着手できた。
|
今後の研究の推進方策 |
1)計画調書に述べたとおり、28・29年度はチベット・ビルマ諸語の古態解明に資する記述データや文献データを集積することに専念・注力する方針である。従って、29年度は28年度に引き続き、現地での記述調査に重点を置く。中国内のnative研究者養成にも配慮する。 2)古シャンシュン語に関する文献学的・統計数理学的分析については、既にデータが整備されたため、本格的な解析を試行する。ここで使用する統計数理学的分析手法がどの程度有効かを確認するため、ギャロン語、キナウル語、ナム語などについても収集された記述データを用いて検証する。新シャンシュン語語彙の抽出も引き続き行う。
|