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2018 年度 実績報告書

チベット・ビルマ語族の繋聯言語の記述とその古態析出に関する国際共同調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 16H02722
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

長野 泰彦  国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (50142013)

研究分担者 武内 紹人  神戸市外国語大学, 外国学研究所, 名誉教授 (10171612)
鈴木 博之  国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 外来研究員 (10593006)
高橋 慶治  愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20252405)
林 範彦  神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (40453146)
金 明哲  同志社大学, 文化情報学部, 教授 (60275469)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードチベット・ビルマ / シャンシュン / 繋聯言語 / 言語類型論 / 歴史言語学 / 古態
研究実績の概要

チベット・ビルマ系語族には複数の下位言語群の特徴を兼ね備え、系統関係の橋渡し役を演じる言語(以下、繋聯言語)がある。現代の繋聯言語は類型的に多様だが、同時に古態を保っていて、当該語族の歴史を探る上で不可欠である。本計画ではチベット・ヒマラヤ語群、チンポー語群、羌・ギャロン語群の中で急速に危機言語化しつつある繋聯言語を現地調査により正確に記述し、言語動態と基層関係を考慮しつつ、各々の古態を国際的連携の下に共同で分析してチベット・ビルマ共通祖語の語彙形式と統辞法ならびに上記の各語群の共通祖語形式を厳密に再構し、チベット・ビルマ系諸語の新たな系統関係を提示することを目的としている。また、析出された古態と統計数理学的手法を用いて、未解読言語シャンシュン語の解読と語義や統語法の推定を目指している。同時にこれを通じて、歴史言語学と数理言語学の方法を補完的に統合することの妥当性をも探ろうとしている。
この目的を達するため、記述調査研究の領域では、長野をギャロン語東部方言の調査のため中国へ、高橋をキナウル語調査のためインドへ、鈴木をチベット語北部の未記述言語の調査のためノルウェーへ、それぞれ派遣した。また、これらの研究成果を広く公表し、批判を仰ぐため、林を米国と南アフリカ共和国で行われた国際学会に派遣した。
さらに、古シャンシュン語解読と語義や統語法の推定のため、武内と金は統計数理学的手法を活用し、4種の敦煌文献における相対頻度の分散行列の主成分分析とクラスター分析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)現地調査に関しては、現在治安上の問題は少なく、入領と調査の進捗状況は順調である。
2)但し、中国西藏自治区に関しては調査ができる状況になく、同地域の未記述言語の調査はノルウェーで行った。
3)情報提供者との関係は良好で、予定通り協力が得られた。
4)古シャンシュン語解読と語義や統語法の推定のための作業は引き続き進行中である。

今後の研究の推進方策

1)2019年度は本計画の最終年度に当たるため、現地調査は主として統語論の補遺調査に充てる。
2)調査データをもとに古態と繋聯性を言語類型論の観点から整理し、チベット・ビルマ祖語及び下位グループの祖語の語彙形式と形態統語法の再構に着手する。
3)未解読言語シャンシュン語解読と語義や統語法の推定を統計数理学的手法を駆使して行うとともに、ギャロン語とキナウル語についても蒐集された記述データを同様の手法を適用して分析を試みる。
4)成果発表は国際学会で随時行うとともに、まとまった論集を2020年度中に刊行する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 嘉戎語莫拉方言の使役表現2019

    • 著者名/発表者名
      長野泰彦
    • 雑誌名

      シナ=チベット系諸言語の文法現象 2 使役の諸相

      巻: - ページ: 83-98

    • 査読あり
  • [雑誌論文] カムチベット語梭坡方言における使役表現と構造2019

    • 著者名/発表者名
      鈴木博之
    • 雑誌名

      シナ=チベット系諸言語の文法現象 2 使役の諸相

      巻: - ページ: 15-28

    • 査読あり
  • [雑誌論文] チノ語悠楽方言の使役2019

    • 著者名/発表者名
      林範彦
    • 雑誌名

      シナ=チベット系諸言語の文法現象 2 使役の諸相

      巻: - ページ: 163-180

    • 査読あり
  • [雑誌論文] キナウル語の使役表現2019

    • 著者名/発表者名
      高橋慶治
    • 雑誌名

      シナ=チベット系諸言語の文法現象 2 使役の諸相

      巻: - ページ: 65-82

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中国雲南省阿克語音系簡介2019

    • 著者名/発表者名
      林範彦・高翔
    • 雑誌名

      神戸外大論叢

      巻: - ページ: 39-68

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本象雄語研究概況2018

    • 著者名/発表者名
      長野泰彦・武内紹人
    • 雑誌名

      青藏高原的古代文明

      巻: 2 ページ: 347-356

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Case-marking system in Menglun Akeu2018

    • 著者名/発表者名
      林範彦
    • 学会等名
      26th Annual Meeting of International Association for Chinese Linguistics
    • 国際学会
  • [学会発表] Semantic change and grammaticalization of the verb 'to get/acquire' in Youle Jino2018

    • 著者名/発表者名
      林範彦
    • 学会等名
      20th International Congress of Linguistics
    • 国際学会
  • [学会発表] Non-finite forms of Kinnauri verbs2018

    • 著者名/発表者名
      高橋慶治
    • 学会等名
      51st Internation Conference of Sino-Tibetan Languages and Linguistics
    • 国際学会
  • [図書] 嘉戎語文法研究2018

    • 著者名/発表者名
      長野泰彦
    • 総ページ数
      475
    • 出版者
      汲古書院
    • ISBN
      978-4-7629-1227-6

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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