研究課題/領域番号 |
16H02731
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 勇介 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (70290921)
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研究分担者 |
岡田 勇 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (00650649)
遅野井 茂雄 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60257441)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 政治学 / 民主主義 / 政治意識 / ポスト新自由主義 / ラテンアメリカ |
研究実績の概要 |
本研究は、全体の研究期間を3年とし、各年度を一つの段階として計3段階に分け、次の調査研究を順次実施する計画である。(1)意識調査の準備(質問票作成)。(2)意識調査の実施と収集されたデータの分析。(3)ラテンアメリカの他の国やラテンアメリカ以外の地域とのによる、意識調査の分析結果の検証と理論化の探求。 昨年度は研究計画の第一段階であった。本年度に実施する意識調査の質問票を研究分担者ならびに海外共同研究者と協働して作成した。まず、全体方針を固め、フォーカス・グループを実施し、作業仮説の検証に加え、表現や設問順など質問票の内容を吟味した。フォーカス・グループの実施の前後には、海外共同研究者があらためて全体方針やフォーカス・グループの結果分析、質問票に関し、助言、検証した。 フォーカス・グループは、2016年11月から2017年1月までのあいだに、24回にわたり、首都のリマのほか、地方都市のピウラ、トゥルヒジョ、クスコ、アレキパ、イキトスで実施した。各地では、中間層と下層を対象に、また30歳から50歳までの有権者で男女別に分けて4回ずつ行った。 結果は興味深い点が多いが、最も注目されるのが、中間層が示した個人主義的な志向の強さである。身近な共同体や社会の重要な課題に対しては、自分個人にとって問題とならない限りにおいて関心や関与はするものの、その克服を目指して積極的に参加していこうとする姿勢は聞かれなかった。今世紀初頭の経済発展のなかで成長した中間層について、20世紀の中間層が有していた高い市民意識は持たず、個人主義的で、自己利益に直接関係する特定の争点に関心を示すのがせいぜいで、それも限られた期間に終わる傾向があるとされることと一致している。本年度実施する意識調査では、この点について深く分析することが重要であることをあらためて確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおり、フォーカスグループによる調査を実施し、質問票の素案を作ることができた。質問票は、言葉や表現などを継続的に検証していく必要があるものの、基本的な部分や内容についてはできており、本年度の意識調査の実施にむけて、着実に準備を進めることができると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
申請書の全体計画どおり、本年度に意識調査の実施と収集されたデータの分析、そして来年度に、テンアメリカの他の国やラテンアメリカ以外の地域とのによる、意識調査の分析結果の検証と理論化の探求を実施する。
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