研究課題/領域番号 |
16H02731
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 勇介 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70290921)
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研究分担者 |
岡田 勇 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (00650649)
遅野井 茂雄 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60257441)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 民主主義 / 政治意識 / 政治参加 / 世論調査 / ラテンアメリカ |
研究実績の概要 |
本年度は、研究計画の第二段階にあたり、前年度に作成した質問票を用いて意識調査を実施し、その結果の分析に着手した。意識調査は、ペルーにおいて、サンプル数2006で全国規模(都市部・農村部をカバー)で実施した。調査は、12月の前半に実施し、翌1月に全体の30%にあたる調査対象者に対し、確認のための作業を実施し、すべての工程を完了した。 その後、調査結果の分析を開始した。本格的な分析は最終年度になるが、記述統計的な分析を行った現時点での暫定的な結論は、民主主義的な価値観に関しては、前回実施した1999年の調査で見られた傾向とは大きな差はないというものである。具体的には、1992年に当時のフジモリ大統領が行った憲法停止のような措置は正当化できるかを尋ねたところ、52%が正当化できると答えた。前回の調査では、51%が正当化できるとしていた。また、より詳しく、どのような場合に正当化できるかを尋ねたところ、汚職の場合と答えた回答者が今回は63%と、戦争や経済危機といった事態を大幅に上回って多かった。前回の調査でも汚職の場合と答えた回答者は多かったものの50%で、今回の調査では前回の水準をも大きく上回るものであった。 他方、顕著な変化としては、政治参加への消極的な姿勢が目立ったことである。現在所属している社会組織について尋ねたところ、宗教関係が30%を超えたものの、それ以外の、社会支援関係や学校関係についても20%を超えた組織はなく、多くの場合、10%前後と低調であった。同じ組織について、以前属していたかを尋ねると、属していたと答えた回答者の割合の方が高い水準を示した。社会組織に所属しない主な理由としては、「時間がない」が過半数以上を超えて最も多い回答であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、全体の研究期間を3年とし、各年度を一つの段階として計3段階に分け、次の調査研究を順次実施する計画で実施してきている。つまり、(1)意識調査の準備(質問票作成)、(2)意識調査の実施と収集されたデータの分析、(3)ラテンアメリカの他の国やラテンアメリカ以外の地域とのによる、意識調査の分析結果の検証と理論化の探 求、である。この全体的な工程表にしたがえば、本年度に上述のような、全国規模の意識調査を実施し、その結果についての分析に着手した状況は、研究計画がおおむね順調に進展していると判断することができる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、全体の研究期間を3年とし、各年度を一つの段階として計3段階に分け、次の調査研究を順次実施する計画である。(1)意識調査の準備(質問票作成)。(2)意識調査の実施と収集されたデータの分析。(3)ラテンアメリカの他の国やラテンアメリカ以外の地域とのによる、意識調査の分析結果の検証と理論化の探求。 本年度は、意識調査を実施し、その結果についての分析に着手したところである。今後は、意識調査の結果分析を本格化させるとともに、前回行った調査結果との通時的な比較を中心に、調査結果の比較分析を実施し、調査結果の検証と理論化の探求に進む。
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