研究課題/領域番号 |
16H02755
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
久保田 康裕 琉球大学, 理学部, 教授 (50295234)
|
研究分担者 |
新垣 誠司 九州大学, 理学研究院, 助教 (10452963)
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50153838)
井口 亮 沖縄工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (50547502)
楠本 聞太郎 琉球大学, 理学部, 博士研究員 (90748104)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | サンゴ礁生物多様性 / 分類学的多様性 / 系統的多様性 / 種アバンダンス分布 / 群集集合 / 生物多様性の緯度勾配 |
研究実績の概要 |
太平洋島嶼のサンゴ礁の生物多様性を保全するための基礎情報として、サンゴ礁生態系の基盤分類群であるイシサンゴ各種の空間分布情報、各種の分類学的情報のデータベース化に取り組んだ。同時に、インドネシア、マナド(Bunaken国立公園)、カリムンジャワ諸島周辺の4地点で、潜水による有藻性サンゴの種多様性調査を行った。具体的には、種レベルの地理的レンジや標本採集や分布記載に付随した地理的ポインと情報を収集し、既存データベースから種レベルの分子情報を収集し、系統解析を行った。東南アジア島嶼の潜水調査では、イシサンゴ類の局所群集レベルの種アバンダンス(サンゴの被度データ)を収集した。そして、これらの基礎情報を統合して、サンゴ礁群集の種多様性(アルファ多様性やベータ多様性など)と系統的多様性の広域的なパターンを明らかにした。分類学的多様性の分析に関しては、ニュージーランド・台湾・香港の海洋生態学者を招聘してワークショップを開催して、多様性の緯度勾配パターンの多峰性パターン形成の歴史的要因(気候変動に対する応答)に関する分析を共同で行った。また、系統学的多様性の分析については、系統フィールドアプローチを提唱しているメキシコのマクロ生態学研究者を招聘して、イシサンゴ特異的な系統的バイアスを考慮した解析方法について討議を行った。さらに、島生態学的な観点からの研究アプローチおよび種アバンダンス分布のパターン解析については、イギリスの島嶼生物地理学研究者と共同して実施し、サンゴ群集の多様性パターンの特異性を明らかにした。野外調査のデザイン設計とデータ解析に関しては、ボゴール農科大学(インドネシア)で開催された国際学会において討議し、インドネシアの共同研究者を訪問、あるいは、台湾の共同研究者を日本に招聘して、データの共同解析などを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マクロスケールでのサンゴ礁群集の生物多様性情報を順調にデータベース化できた。さらに、このデータベースを活用して国際的共同研究のネットワークを形成できた。海外共同研究者との共著論文を複数編取りまとめることができた。同時に、東南アジアへ渡航し、予定していた現地調査を実施した。また、海外共同研究者を招聘あるいは訪問して、国際的ネットワーク形成を推進した。これらの理由から、全体として本研究は概ね順調に進捗していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
サンゴ礁生物群集に関する既存情報のデータベース化を進めると同時に、データが不足している東南アジアのサンゴ礁生態系における野外調査を推進し、生物多様性のホットスポットの定量を行う。特に種のチェックリストなど基礎情報が不足 している地域について、海外のカンターパートを通じて実調査の可能性を検討する。
|