研究課題
伐採や火災などの人間活動の影響によって東南アジアの森林は急速に消失・劣化し、地域経済や地域環境の深刻な問題となっている。一般に熱帯地域での森林再生は難しいが、その原因はよく分かっていない。近年、温帯域での研究によって、森林を構成する樹木の多くは菌根菌という根に共生する菌類に養分吸収の大部分を依存しており、樹木の定着や森林の回復に菌根菌が決定的な役割を果たしていることが明らかになってきた。研究代表者らのこれまでのプロジェクトによって、一部の熱帯樹木の菌根菌群集と実生定着への影響が明らかにされたものの、その知見は極めて断片的である。そこで本研究では、東南アジア地域において、攪乱から回復途上にある二次林を対象に、主要樹木に共生する菌根菌群集を明らかにする。今年度は撹乱跡地に自然に定着しているフトモモ科樹木のTristaniopsisに共生する菌根菌の現地調査をカリマンタン島中央カリマンタン州で実施した。5箇所の調査地において土壌サンプルを採取し、菌根を顕微鏡下で選別し、DNA抽出を行なった。その後、菌特異的プライマーによってrDNAのITS領域をPCR増幅し、ダイレクトシーケンスによって塩基配列を決定した。得られた塩基配列情報と国際塩基配列データベースの登録情報との相同性によって菌種を同定した。検出された菌種の多くは、同種と思われる塩基配列情報の登録がなく、新種である可能性がある。このような結果の一部は学会にて発表を行なった。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り現地調査とデータ解析が進んでいるため。
当初の計画通り研究を実施する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件)
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