研究課題/領域番号 |
16H02767
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
牛田 一成 中部大学, 創発学術院, 教授 (50183017)
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研究分担者 |
浅井 鉄夫 岐阜大学, 大学院連合獣医学研究科, 教授 (10509764)
丸山 史人 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30423122)
大屋 賢司 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50402219)
大久保 寅彦 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (90762196)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 薬剤耐性菌 / アフリカ / ウガンダ / プロバイオティクス乳酸菌 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、9月から10月にかけてウガンダに渡航し、調査地の一つであるワキソ県カキリおよびチテベ周辺の農家で、粗放な飼養形態におかれたアフリカ在来種のブタ3頭、同ニワトリ3羽から糞を採取し、28および29年度に引き続き選択培地で乳酸菌を分離培養した。その結果、それぞれの家畜種からLactobacillus mucosaeなど47株とL. fermentumなど15株の乳酸菌を分離した。これらについて、抗菌性など生理活性の検討作業を継続中である。 大型スーパーマーケットおよび路傍の小規模食肉店など経営規模の異なる商店から精肉40検体を購入し、選択培地で大腸菌を分離した。PCRで種同定を行なったのち、1検体から最大2株分離し、合計68株の大腸菌を得た。DNAを抽出し、薬剤耐性遺伝子の検査を行った。その結果、テトラサイクリン耐性株(17.7%)、アンピシリン耐性株(7.4%)などが検出された。ESBL産生株やカルバペネム耐性株は検出されなかった。系統発生分類により、全体の68.4%が動物由来系統とされるB1グループであったことから精肉上の大腸菌は畜産動物に由来するものが主流であると考えられた。ウガンダでは食肉の冷蔵システムが未発達であり、精肉は屠殺された日に出荷・消費されるため、今回分離された精肉上の薬剤耐性大腸菌は農場から消費者へ直接伝達するおそれが強く、ヒトにおける耐性菌蔓延のリスクを高めるものと予想された。また、29年度にヨーネ病疑い事例から分離された抗酸菌の維持を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度29年度に実施した調査研究の結果を論文「Phenotypic and genotypic analyses of antimicrobial resistant bacteria in livestock in Uganda」としてTransboundary Emerging Diseases誌に2018年9月27日に公表できた( https://doi.org/10.1111/tbed.13024)。この一部は、ウガンダ国内に於ける初めてのメタゲノム研究となった。その中で、粗放な形態の伝統的畜産業では、薬剤耐性菌の侵襲が著しく少ないことを明らかにし、畜産物の品質管理の面で、ウガンダ農業が目指す方向性を明らかにできた。 また生理活性を検定する乳酸菌も利用のしやすい菌種を中心に、無薬の伝統的畜産業から200株以上が分離されており、今後、生理活性検定を進める。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる31年度については、プロバイオティクス候補菌の選定を進めるほか、市販畜産物への薬剤耐性菌の侵襲状況についてさらに調査を進め、ウガンダ共和国の食品管理行政に役立てられるように、現地カウンターパートを通じて行政へ情報提供を行う。
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