研究課題
本研究課題は、ピロプラズマ病に対する日本の検疫体制の強化と国際的なピロプラズマ病対策の確立のため、研究代表者らが開発した血清診断法(ELISA, ICT)や遺伝子診断法(PCR, LAMP)のを用いた疫学調査やリングトライアルを行い、これらの診断法を国際的な評価を行うことを目的としている。28年度は、アジアを調査対象として選定し、研究を推進した。最初に、モンゴル獣医学研究所において馬ピロプラズマ原虫の培養に関する技術指導を行った。また、北西部において馬および牛ピロプラズマ病の疫学調査を実施した。また、インドネシアのボゴール農業大学の協力により、馬ピロプラズマ病の疫学調査を実施した。その結果、235頭中、T. equiで5頭 (2.1%) 、B. caballiで15頭 (6.4%) が陽性であった。また、PCRにより1頭および4頭がT. equi および B. caballiに陽性であった。さらに遺伝子配列の解析により、BC48の遺伝子配列は99.8 -100%の割合で相同性があり、新しい遺伝子群を形成することが明らかになった。これらの結果は、国際専門誌に投稿して、現在審査中である。また、30年度に実施予定であった、イギリスのAnimal and Plant Health Agency (APHA、動植物安全庁)との強力に関しては当初計画を前倒し、本年度にAPHAを訪問し、馬ピロプラズマ症の診断法に関して直面している問題点やその解決法、今後の協力体制の実施に関する打ち合わせを行った。しかしながら、当初、現地調査を予定していたインドの馬属研究所およびタイのチェンマイ大学との共同研究について、両政府による共同研究の承認許可に遅延が生じた。そのため、現地協力者と日程調整を行い、29年度の共同研究を実施することにした。
3: やや遅れている
平成28年度の後半に現地調査を予定していたインドの馬属研究所およびタイのチェンマイ大学との共同研究について、当初の想定に反して、両政府による共同研究の承認許可に遅延が生じていることが判明した。研究遂行上、両研究機関との共同研究は不可欠であり、現地協力者と共同研究の許可取得などに関する日程調整を行い、29年度に実施することに決定した。
平成28年度の実施できなかったインドの馬属研究所およびタイのチェンマイ大学との共同研究について再度日程調整を行った。その結果、29年6月にタイのチェンマイ大学との疫学調査を実施する事とした。また、インドの馬属研究所に関しては、インドの協力者が血液サンプルを採取後、インドの協力者を日本に招聘しこれらの試料の分析を行うこととした。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 8件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
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