研究課題/領域番号 |
16H02771
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
市原 清志 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授(特命) (10144495)
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研究分担者 |
川口 鎮司 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (90297549)
村上 博和 群馬大学, その他部局等, 特別教授 (40166260)
齋藤 貴之 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (80375542)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 事実に基づく検査診断 / 基準範囲 / 症例データベース / 血液悪性腫瘍 / 多施設共同調査 / 標準化 |
研究実績の概要 |
事実に基づく検査診断(EBLM)の実践をめざした疾患別症例データベース構築はWeb登録システムのプログラムを改良し、その安定運用を実現した。膠原病に関しては前年度の強皮症416例に加え、皮膚筋炎359例の臨床所見・検査所見を収集してWeb登録を行った。いずれの疾患も、かつてない症例数であり、臨床所見と検査所見の連関を解析し、両疾患の疫学的特徴を明らかとした。血液疾患では悪性リンパ腫、骨髄腫の症例の大幅な追加を目指したが、南アフリカと中国での協力体制の確保が諸事情で手間取り、症例追加作業が遅延し、次年度から本格的な収集を目指すこととなった。さらにバングラデシュからの症例数は増えたが、EBLMに利用可能な対象検査項目数が少なく、期待した成果は得られなかった。 一方、健常者臨床検査値データベースの構築では、ケニア、インド、中国の基準値分析結果(健常者における臨床検査値の変動要因と基準範囲設定)を国際誌に報告した。さらに、基準値調査継続中のエジプトおよびマレーシアを訪問し、中間データ解析と論文作成の準備作業を行った。また、前年度までに調査を終えた、ナイジェリア、ネパール、ロシア、ガーナの調査結果第一報、ケニア・サウジアラビアの第2報の論文作成に取り組んだ。国際基準値調査は、結局世界19カ国のデータ収集作業が本年度完了することとなり、国別の調査結果報告を継続しつつ、次年度に最終の総合成果報告を行う。またその全データをWebのEBLM検索システムへの登録作業を行うことした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
協力施設における臨床症例データベースへの協力に関わる倫理審査が遅延した。その理由は、南アフリカでは、症例調査票をWeb入力に対する個人情報取り扱いに対し誤解があり認可が遅延したこと、中国では、研究協力者への謝金の支払法について折り合いがとれなかったことによる。また、いずれの国も調査開始に当たり、担当する大学院生の協力体制の確保にも時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
臨床症例データベースのためのデータ収集は、先方の事情で遅れたため、それに関わる予算の執行の7ヶ月の繰り延べることで対応した。一方、世界規模基準値調査の国別成果分析と論文化作業も、先方の事情および作業負荷量の多さから遅延しており、現地を直接訪問して、共同作業を積極的に行うことで、仕事の効率を高める方針とした。
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