研究課題/領域番号 |
16H02774
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山下 俊一 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30200679)
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研究分担者 |
高村 昇 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30295068)
中島 正洋 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50284683)
サエンコ ウラジミール 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (30343346)
光武 範吏 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (50404215)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 内分泌学 / 放射線 / 甲状腺がん |
研究実績の概要 |
チェルノブイリ周辺の海外連携研究拠点並びに欧米共同研究機関と共に放射線誘発甲状腺がんの分子疫学調査を以下の項目で推進した。特に、国際社会における専門家交流と学術研究成果の新知見などの意見交換ならびに今後の調査研究推進について国際交流実績を挙げた。 ① 7月3~5日:ジューネーブにて開催されたThe 15th meeting of WHO REMPANに参加し、チェルノブイリと福島の教訓と今後の研究に向けた協議を行った。8月28~29日:カザフスタンでの第12回国際会議“Ecology, Radiation and Health”、11月22~23日:台湾での第32回中日工程技術検討会、平成30年2月3~4日:長崎での第2回3大学共同利用・共同研究ネットワーク国際シンポジウム、3月2日:ベラルーシにて開催された国際甲状腺がんフォーラム、3月5日:ロシアのメチニコフ国立北西医科大学での世界展開力強化事業に関する調印記念シンポジウム等に参加し、放射線と甲状腺に関する研究成果を発表した。 ② 共同研究者として平成29年5月~平成29年10月までベラルーシ卒後医学教育アカデミーよりPankratov Oleg先生を客員教授として招聘し、小児甲状腺がん全摘手術後の放射性ヨウ素内用療法の副作用研究を行い、平成29年11月~平成30年3月までロシア・サンクトペテルブルクより北西医科大学のVolkova Elena先生を客員教授として招聘し、内分泌疾患の臨床疫学研究と、日露両国における診断治療法の違いについての比較研究を行なった。チェルノブイリ周辺諸国より6名の研修生を7月13日~8月16日まで受け入れた。サンプリング収集と解析については、チェルノブイリ現地における大規模コホート調査研究を推進し、生体試料収集保存管理のバイオバンク構築維持を引き続き継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の交付申請書で提出した研究実施計画に沿って、前年度に引き続きチェルノブイリ周辺の海外連携研究拠点並びに欧米共同研究機関と共に放射線誘発甲状腺がんの分子疫学調査を推進した。サンプリング収集と解析についても、チェルノブイリ現地における大規模コホート調査研究を推進、生体試料収集保存管理のバイオバンク構築維持を継続している。国際レベルのGWAS共同研究と独立して、新規リスク関連候補遺伝子群を探索し、分子病理学的解析を進め論文報告も順調に進展している。福島原発事故後の調査事業での自然発症甲状腺がんについても同様な解析を推進し、線量推計との相関性を検討している。しかしながら、福島県で発見手術をされている甲状腺癌症例の被曝線量は極めて低く、またスクリーニング効果による微小がん発見率が高く、放射線との因果関係というより、自然発症の甲状腺乳頭癌の遺伝的背景や遺伝子異常など今後網羅的な探索が新たに必要となる。
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今後の研究の推進方策 |
チェルノブイリ周辺の海外連携研究拠点並びに欧米共同研究機関と共に、放射線誘発甲状腺がんの分子疫学調査を継続する。①各種国際会議を通じて、これまでの知見を発表し、共同研究事業を推進する。②小児~青年期甲状腺癌の病理診断の見直しと遺伝子多型調査に加えて、人種差や放射線被ばくの有無による違いの比較調査研究を福島とそれ以外の国内、さらにチェルノブイリにおいて推進する。 派遣計画は、7月に台湾で開催予定のChinese Medical Association Meetingに参加発表、8月はソウルでのInternational Symposium、11月にはボストンで開催される国際甲状腺癌シンポジウムでの教育講演、12月はアフリカ・ケープタウンでの国際内分泌学会シンポジウムに参加発表する。時期は未定だが、韓国原子力科学院や旧ソ連研究機関への専門家派遣を予定する。 招聘計画は、カザフスタンがん放射線医学研究所より共同研究者を1年間客員教授として招聘、8月チェルノブイリ周辺諸国からの研修生を受入れ、10月中旬には、海外からの専門家ならびに共同研究者を招聘し、最終報告の場としてシンポジウムを予定している。 サンプリング収集と解析については、チェルノブイリ現地における生体試料収集保存管理のバイオバンクを構築維持する。現在得られている候補遺伝子群の遺伝子多型SNPsを中心に分子疫学調査を推進する。国際レベルのGWAS共同研究と独立して、新規リスク関連候補遺伝子群を探索する。同時に分子病理学的解析を推進する。福島原発事故後の調査研究事業で発見される自然発症甲状腺がんについても同様な解析を推進し、線量推計との相関性を検討し、論文化を推進する。
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