公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用

2018 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 16H02791
• 研究機関: 岡山商科大学
• 研究代表者: 佐井 至道 岡山商科大学, 経済学部, 教授 (30186910)
• 研究分担者: 星野 伸明 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (00313627) ; 渋谷 政昭 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 名誉教授 (20146723) ; 間野 修平 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 准教授 (20372948) ; 伊藤 伸介 中央大学, 経済学部, 教授 (90363316) ; 稲葉 由之 明星大学, 経済学部, 教授 (80312437) ; 佃 康司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任講師 (30764972) ; 瀧 敦弘 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (40216809)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 官庁統計 / 個票データ / ミクロデータ / リスク評価 / 秘匿措置 / ビッグデータ

研究実績の概要

本研究の本年度の主目的は，データに対する秘匿方法・リスク評価方法の理論を確立し充実させることであり，データとしては個票データ，表形式データ，疑似ミクロデータが対象であった。
このうち個票データに対するリスク評価に用いられるピットマンモデル，ディリクレ過程など，確率分割やその関連領域における研究では，本年度も渋谷，間野，佃，大和などによってモデルの性質などについて多くの成果が得られた。
疑似ミクロデータについては，統計センターにおいて本研究参加者の業績を取り入れて提供が行われており，現在も改良が進められている。本年度，伊藤はデータスワッピングを用いた秘匿について，官庁統計の個票データを用いた詳細な検討を行った。星野は疑似多項分布を用いた模造データの作成法を提案し，他の手法と比較して優れていることを示した。佐井はキー変数とノイズ変数に分布を導入して，母集団も考慮に入れたリスク評価方法をある程度確立した。またリスク評価方法として，局所的なキー変数の分布を利用したノンパラメトリック推定法を提案し，前述の方法よりも優れたケースのあることを示した。これらは本年度の研究で最も進捗が大きいものとなった。
本研究のもう一つの目的は，種々の分野のビッグデータの公開に関する研究を行うことであった。情報処理学会内のPWS（プライバシーワークショップ）とは，昨年度に引き続き，それぞれの研究集会へ相互に参加し合い，統計関連学会連合大会とPWS2018（CSS2018内で開催）においては，それぞれ合同の企画セッションを設置し，その成果が互いの研究に取り入れられた。
本研究の成果については，2018年9月に行われた統計関連学会連合大会などの学会や国内外の各種シンポジウムにおいて報告を行うとともに，2018年12月13日，14日に統計数理研究所で主催した研究集会や研究会でも報告し，討論や意見交換を行った。

現在までの達成度 (段落)

平成30年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

平成30年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] High-dimensional testing for proportional covariance matrices (2019)
  • 著者名/発表者名: Tsukuda, K. and Matsuura, S.
  • 雑誌名: Journal of Multivariate Analysis 巻: 171 ページ: 412～420
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.jmva.2019.01.011
  • 査読あり
• [雑誌論文] On Poisson approximations for the Ewens sampling formula when the mutation parameter grows with the sample size (2019)
  • 著者名/発表者名: Tsukuda, K.
  • 雑誌名: The Annals of Applied Probability 巻: 29 ページ: 1188～1232
  • DOI: https://doi.org/10.1214/18-AAP1433
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 個票データのキー変数の型とリスクとの関係 (2018)
  • 著者名/発表者名: 佐井至道
  • 雑誌名: 岡山商大論叢 巻: 54 ページ: 1～28
• [雑誌論文] The Quasi-Multinomial Synthesizer for Categorical Data (2018)
  • 著者名/発表者名: Hu, J. and Hoshino, N.
  • 雑誌名: Privacy in Statistical Databases, PSD 2018 巻: 11126 ページ: 75～91
  • DOI: https://doi.org/10.1007/978-3-319-99771-1_6
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] オーストラリアにおける公的統計の二次的利用について-オンデマンド集計システムTableBuilderを中心に- (2018)
  • 著者名/発表者名: 伊藤伸介, 谷道正太郎, 小島健一
  • 雑誌名: 経済学論纂（中央大学） 巻: 58 ページ: 187～208
• [雑誌論文] 国勢調査における匿名化ミクロデータの作成可能性 (2018)
  • 著者名/発表者名: 伊藤伸介
  • 雑誌名: 経済志林 巻: 85 ページ: 241～277
• [雑誌論文] 公的統計ミクロデータの利活用の動向とわが国における課題 (2018)
  • 著者名/発表者名: 伊藤伸介
  • 雑誌名: 統計 巻: 2018年6月号 ページ: 13～18
• [雑誌論文] Comparative Study of the Effectiveness of Perturbative Methods for Creating Official Microdata in Japan (2018)
  • 著者名/発表者名: Ito, S., Yoshitake T., Kikuchi R. and Akutsu F.
  • 雑誌名: Privacy in Statistical Databases, PSD 2018 巻: 11126 ページ: 200～214
  • DOI: https://doi.org/10.1007/978-3-319-99771-1_14
  • 査読あり
• [雑誌論文] 匿名化された公的統計ミクロデータの作成における攪乱的手法の有効性の評価 (2018)
  • 著者名/発表者名: 伊藤伸介, 星野なおみ, 阿久津文香, 菊池亮
  • 雑誌名: 経済学論纂（中央大学） 巻: 59 ページ: 37～60
• [雑誌論文] Shifted Binomial approximations for the Ewens sampling formula (II) (2018)
  • 著者名/発表者名: Yamato, H.
  • 雑誌名: Bulletin of Informatics and Cybernetics 巻: 50 ページ: 43～50
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] A-hypergeometric distributions and Newton polytopes (2018)
  • 著者名/発表者名: Takayama, N., Kuriki, S. and Takemura, A.
  • 雑誌名: Advances in Applied Mathematics 巻: 99 ページ: 109～133
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.aam.2018.05.001
  • 査読あり
• [雑誌論文] A new era of statistics and data science education in Japanese universities (2018)
  • 著者名/発表者名: Takemura, A.
  • 雑誌名: Japanese Journal of Statistics and Data Science 巻: 1 ページ: 109～116
  • DOI: https://doi.org/10.1007/s42081-018-0005-7
  • 査読あり
• [学会発表] Gibbs base random partitions (2019)
  • 著者名/発表者名: Sibuya, M.
  • 学会等名: Pioneering Workshop on Extreme Value and Distribution Theories in Honor of Professor Masaaki Sibuya
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] An error bound for the normal approximation to the length of a Ewens partition (2019)
  • 著者名/発表者名: Tsukuda, K.
  • 学会等名: Pioneering Workshop on Extreme Value and Distribution Theories in Honor of Professor Masaaki Sibuya
  • 国際学会
• [学会発表] Asymptotic and approximate discrete distributions for length of Ewens sampling formula (2019)
  • 著者名/発表者名: Yamato, H.
  • 学会等名: Pioneering Workshop on Extreme Value and Distribution Theories in Honor of Professor Masaaki Sibuya
  • 国際学会
• [学会発表] マーク付き経験過程に基づくマルコフ過程の適合度検定 (2019)
  • 著者名/発表者名: 佃康司, 西山陽一
  • 学会等名: 日本数学会2019年度年会
• [学会発表] The Quasi-Multinomial Synthesizer for Categorical Data (2018)
  • 著者名/発表者名: 星野伸明
  • 学会等名: 科学研究費補助金・統計数理研究所共同利用合同研究会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] Ewens-Pitman抽出公式に関連したいくつかの話題について (2018)
  • 著者名/発表者名: 佃康司
  • 学会等名: 科学研究費補助金・統計数理研究所共同利用合同研究会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] Inference on Gibbs base random partition (2018)
  • 著者名/発表者名: 渋谷政昭
  • 学会等名: 科学研究費補助金・統計数理研究所共同利用合同研究会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] 数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムとカリキュラム分科会の紹介 (2018)
  • 著者名/発表者名: 丸山祐造
  • 学会等名: 科学研究費補助金・統計数理研究所共同利用合同研究会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] ミクロデータにおける攪乱的手法の有効性に関する比較研究 (2018)
  • 著者名/発表者名: 伊藤伸介, 吉武透, 菊池亮, 阿久津文香
  • 学会等名: 科学研究費補助金・統計数理研究所共同利用合同研究会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] 高次元の公的統計データにおけるプライバシー保護をめぐって (2018)
  • 著者名/発表者名: 伊藤伸介, 寺田雅之
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] リスクの高いデータの秘匿について (2018)
  • 著者名/発表者名: 佐井至道
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] ミクロデータにおける攪乱的手法の有効性に関する比較研究 (2018)
  • 著者名/発表者名: 吉武透, 伊藤伸介, 菊池亮, 阿久津文香
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] 海外の公的統計や行政記録情報に関するデータリンケージの現状について (2018)
  • 著者名/発表者名: 伊藤伸介
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] ノイズ共変量に対するロバスト設計法と関連する話題 (2018)
  • 著者名/発表者名: 佃康司
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
  • 招待講演
• [学会発表] 二つの一般リッジ推定量を等しくする共分散構造とその応用 (2018)
  • 著者名/発表者名: 佃康司, 倉田博史
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] Rejection sampling from the quasi-multinomial distribution (2018)
  • 著者名/発表者名: Hoshino, N.
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] A direct sampler from A-hypergeometric distributions (2018)
  • 著者名/発表者名: Mano, S. and Takayama, N.
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] Ewens標本抽出公式の分割の個数の分布への二項分布に基づく近似 (2018)
  • 著者名/発表者名: 大和元
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] 東京大学の統計データサイエンス教育及び6大学コンソーシアムの取り組みについて (2018)
  • 著者名/発表者名: 丸山祐造
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] データサイエンス学部卒業生の人材像 (2018)
  • 著者名/発表者名: 竹村彰通
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] わが国における保有不動産・金融資産と就業状況に関する実証分析-居住地情報に着目して- (2018)
  • 著者名/発表者名: 伊藤伸介, 出島敬久, 村田磨理子
  • 学会等名: 2018年統計関連学会連合大会
• [学会発表] 非攪乱的および攪乱的な秘匿方法を施した個票データのリスクの比較 (2018)
  • 著者名/発表者名: 佐井至道
  • 学会等名: コンピュータセキュリティシンポジウム2018 (CSS2018)
  • 招待講演
• [学会発表] 統計的推測精度の管理 (2018)
  • 著者名/発表者名: 星野伸明
  • 学会等名: コンピュータセキュリティシンポジウム2018 (CSS2018)
  • 招待講演
• [学会発表] 統計データのプライバシー保護に関する現状と課題 (2018)
  • 著者名/発表者名: 伊藤伸介
  • 学会等名: コンピュータセキュリティシンポジウム2018 (CSS2018)
• [学会発表] Ewens抽出公式に対する正規近似とポアソン近似 (2018)
  • 著者名/発表者名: 佃康司
  • 学会等名: シンポジウム「融合する統計科学」
• [学会発表] Posterior sampling from some non-exchangeable priors (2018)
  • 著者名/発表者名: 間野修平
  • 学会等名: シンポジウム「融合する統計科学」
• [学会発表] 秘匿措置が施されたデータのリスク評価の試み (2018)
  • 著者名/発表者名: 佐井至道
  • 学会等名: 研究集会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] 国勢調査ミクロデータにおける攪乱的手法の適用可能性の検証 (2018)
  • 著者名/発表者名: 伊藤伸介, 吉武透, 菊池亮, 阿久津文香
  • 学会等名: 研究集会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] データ結合による大規模データの構築と公開に関する考察 (2018)
  • 著者名/発表者名: 稲葉由之
  • 学会等名: 研究集会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] Ewens標本抽出公式のSingletonとDoubletonの個数の分布と近似 (2018)
  • 著者名/発表者名: 大和元
  • 学会等名: 研究集会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] ランダムネスによるプライバシー保護 (2018)
  • 著者名/発表者名: 星野伸明
  • 学会等名: 研究集会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] Ewens分割の長さの正規近似について (2018)
  • 著者名/発表者名: 佃康司
  • 学会等名: 研究集会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] Ewens分割のq類似とその性質 (2018)
  • 著者名/発表者名: 間野修平
  • 学会等名: 研究集会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] Gibbs Base Random Partition の推測 (2018)
  • 著者名/発表者名: 渋谷政昭
  • 学会等名: 研究集会「公的大規模データの利用におけるプライバシー保護の理論と応用」
• [学会発表] 匿名のデータとは何か (2018)
  • 著者名/発表者名: 星野伸明
  • 学会等名: 日本計算機統計学会第32回シンポジウム
  • 招待講演
• [学会発表] Samplers for non-exchangeable prior processes and hypergeometric systems (2018)
  • 著者名/発表者名: Mano, S.
  • 学会等名: The 5th Institute of Mathematical Statistics Asia Pacific RIM meeting
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Sampling from non-exchangeable priors (2018)
  • 著者名/発表者名: Mano, S.
  • 学会等名: The 3rd Eastern Asia Meeting on Bayesian Statistics, International Society of Bayesian Analysis East Asian Chapter
  • 国際学会
• [学会発表] Direct sequential sampler from A-hypergeometric distributions (2018)
  • 著者名/発表者名: Mano, S. and Takayama, N.
  • 学会等名: International Association for Statistical Computing Asian Regional Section
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 分割，超幾何系，Dirichlet過程と統計的推測 (2018)
  • 著者名/発表者名: 間野修平
  • 学会等名: 日本数学会2018年度秋季総合分科会
  • 招待講演
• [学会発表] Poisson-Dirichlet分布に従う母集団からの標本が保持する情報量について (2018)
  • 著者名/発表者名: 佃康司, 間野修平
  • 学会等名: 日本数学会2018年度秋季総合分科会
• [学会発表] ノイズ共変量に対するロバストパラメータ設計 (2018)
  • 著者名/発表者名: 佃康司
  • 学会等名: 第9回横幹連合コンファレンス
  • 招待講演
• [図書] JSS Research Series in Statistics, Partitions, Hypergeometric Systems, and Dirichlet Processes in Statistics (2018)
  • 著者名/発表者名: Mano, S.
  • 総ページ数: 135
  • 出版者: Springer
  • ISBN: 978-4431558866
• [備考] Shido Sai 科学研究費補助金・共同利用研究に関するページ
  • URL: http://sai.in.coocan.jp/research/index.html