研究実績の概要 |
1. 非心実ウィシャート行列の最大固有値の分布は,多変量分散分析の検定の検出力の解析やMIMOにおけるSN比評価で必要となる.しかしながら,その分布関数の記述にはゾーナル多項式を拡張したある種の不変多項式が必要であり,数値的評価の方法は知られていない.本研究では,最大固有値分布を期待オイラー標数法で近似するという方針のもと,その数値計算の方法を検討した.特にHGM法 (Holonomic Gradient Method) の適用を試みた.(高山信毅, Yi Zhang との共同研究) 2. 特異点を持つ統計モデルは特異モデルとよばれ,そのモデルの解析にはオイラー標数法がしばしば用いられる.こここではサンプル数が少ないことに起因する特異性をもつ統計モデルの解析を行った.ここで扱ったモデルは分散共分散がクロネッカー積構造をもつガウスモデルである.サンプルサイズが2の場合には,マトリックスペンシルのクロネッカー標準形によってモデルが正準系に変換され,それを出発点として,最尤推定量の存在,一意的存在,非存在が決定されることを明らかにした.また計算の過程では,グレブナー基底計算が有用であることも分かった.(Mathias Drton との共同研究) 3. Bernstein コピュラを一般化する形で B-Spline コピュラを定義した.半無限区間に等間隔のノットを持つ B-Spline 関数のモーメントを陽の形であたえ,それを用いて B-Spline コピュラが取りうる相関の範囲を確定した.(Xiaoling Dou, Gwo Dong Lin, Donald Richarsとの共同研究)
以上に加えて, 応用数理全般を対象としたワークショップ「確率・ 統計・ 行列ワークショップ 彦根 2018」を 2018年10月24日(水),25日(木)に滋賀大学データサイエンス学部で開催した.
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