期待オイラー標数法は,確率場の最大値の近似分布を与える幾何学的方法論である.信号検出や変化点問題などの多重比較の多重性調整p値の計算のために用いられることが多く,例えば脳画像データ解析では標準ツールとして用いられている.しかしながら本方法には近似誤差評価が十分には解明されていないなど方法論として未完成な部分がある.また積分計算方法の改良等により更なる実用化を図ることができる余地もある.さらにランダム行列理論,代数統計など関連数理分野との境界領域の開拓も可能である.本研究ではこれらの各視点から総合的に期待オイラー標数法を研究し,その理論的深化と実用化,応用範囲の拡大を図る.
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