研究課題
半導体製造プロセスの微細化に伴い,素子のランダムなばらつきが問題となっている.これに対して我々は,動的タイム・ボローイングを可能とするクロッキング方式を提案してきた.この方式では,あるステージの遅延がクロック周期を超えた場合,超過時間を次のステージへと繰り越すことができる.その結果,素子ごとの遅延のばらつきは大数の法則によって平均化され,平均遅延(で決まるクロック周期)での動作が可能となる.ただしこの方式では,タイミング故障(Timing Fault, TF)を検出し回復することが必要となる.プロセッサでは,TF からの回復はプロセッサ・コンテクストに基づいて行われる.TF に対応するためには,TF の影響を受けた可能性のある誤った更新からコンテクストを保護する一方で,TF 発生時には TF の影響を受けていないコンテクストから実行を再開すればよい.我々は,TF からの回復が可能なように Rocket プロセッサを改造した.Rocket は、RISC-V アーキテクチャに準拠するスカラ・プロセッサで,RISC-V の総本山である UC Berkley で開発されたものである.Rocket プロセッサは、性能のため、このコンテクストの更新部分にある種のギミックを実装していたため,このギミックを無効化する必要があった.この改造された Rocket プロセッサを FPGA に実装し、Linux をブートすることに成功した.さらに、ボード上のスイッチから TF を注入しても動作を継続できることを確認した.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Impact
巻: 10 ページ: 50-52
10.21820/23987073.2019.10.50