仮想化技術を活用したクラウド環境において、仮想マシンのダウンタイムや性能低下を低く抑えたまま仮想マシンモニタの動的リフレッシュを可能にするために、オンデマンドでネステッド仮想化の有効・無効を切り替え可能にして、古い仮想マシンモニタ上の仮想マシンを新しい仮想マシンモニタ上へと同一マシン上でマイグレーションすることで、仮想マシンを動作させたまま仮想マシンモニタを再起動できる仕組みを研究した。この研究では、最下層のレベル0の仮想マシンモニタと、その上で動作するレベル1の仮想マシンモニタとの間で、ハードウェア仮想化支援機構で管理されている状態を入れ替えることで、ネステッド仮想化の動的な有効化・無効化を実現した。 予備的な評価として,YCSBベンチマーククライアント(バージョン0.12.0)を用いて,Redis(バージョン4.0.2)の性能を測定した。使用したワークロードは、A (update heavy)で,読み込みと書き込みがともに50%であった.実験の結果、従来方式のNested KVMではオーバーヘッドが36.2%と性能が大幅に低下したのに対し、提案方式では、ネステッド仮想化を有効にした状態でもオーバーヘッドは4.1%に抑えられることが分かった。また、脱仮想化をおこなったあとでは、提案方式のオーバーヘッドはわずか2.0%で、標準偏差もNested KVMとほぼ同等であり、安定した高い性能が得られることが分かった。
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