研究課題/領域番号 |
16H02801
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊野 文彦 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (90346172)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | GPU / マルチタスク / 並列分散処理 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,家庭やオフィスで日常的に使われているグラフィクスハードウェアGPU(Graphics Processing Unit)上で,遠隔から投入される科学計算の超並列処理を実現することである.その実現のために,平成30年度は以下3点の研究課題に取り組んだ. まず,画像認識のための深層学習を複数のGPUノード上で加速できる並列プログラムを拡張し,各ノードにおいて秒間40フレームの滑らかな画面描画を実現しながら,分散深層学習を高速化できることを示した.この並列プログラムは,標準通信仕様MPI(Message Passing Interface)を用い,GPUノード間でメッセージを交換しながら分散深層学習を実現する.さらに,ノード間の計算負荷の偏りに起因して学習時間が長くなる問題に対し,ノード間の同期待ちを削減する手法を開発した.この結果,一定の学習精度に到達するまでの学習時間を40%削減できることが分かった. 次に,海外の研究機関との交流を推進するために,スウェーデン王立工科大学ならびにバルセロナ・スーパーコンピューティング・センターとの共同研究を実施し,評価に用いる科学計算応用の候補として分散ボリュームレンダリングならびに大規模地震波シミュレーションの並列プログラムをそれぞれ開発した.前者の研究成果は国際共著論文として国際論文誌に投稿し,後者は投稿の準備を進めた. 最後に,GPUにおける遊休サイクルの活用を自動化するために,マルチタスク実行のためのGPUプログラムを自動生成できるトランスレータの開発を進めた.当初の計画にしたがい,ROSEコンパイラフレームワークによる実装を開発し,大規模地震波シミュレーションへの適用を試みている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度に至る前に,具体的な応用として複数のGPUノードによる分散深層学習の高速化を実現できたことは想定以上の進捗である.また,海外の研究機関との交流を推進し,その研究成果を国際共著論文として投稿できたことも計画通りである.ただし, GPUプログラムの自動生成に関して計画の遅れがあり,これらを差し引いて全体の進捗は計画通りである.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,地震波シミュレーションなどの具体的な応用を用い,マルチタスク向けGPUプログラムの自動生成に引き続き取り組む予定である.また,これまでの研究成果を統合し,国際論文誌へ研究成果を積極的に投稿していく予定である.
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