インターネットの利用者は、ランダムに見える文字列を含む URL でコンテンツにアクセスする時、利用者追跡がなされていないことを確かめる術を持たない。本研究では、次の2つのレベルで匿名性を実現し、利用者追跡を防止する。 (1) 「協調的アクセス・カウンタ」により協調している利用者は、ある URL 等の識別子で識別されたコンテンツをアクセスする時、同じコンテンツをアクセスす る利用者が少なくとも k 名以上存在することを利用者自身で確認可能にする。 (2) 「IPアドレス交換パーティ会場」により利用者による濫用を抑止しながら、IPアドレスを効果的に匿名化する。 IPアドレスの交換には、従来、VPN (Virtual Private Network) を必要としていた。これは、OS レベルで PC を接続するものであり、職場や友人と接続することに適しているが、見知らぬ人と IP アドレスを交換するには、セキュリティ上の問題がある。 平成30年度には、VPN の代替機能として、WebRTC (Web Real-Time Communication) を用いたWebブラウザ通信機能を実現した。WebRTC は、ブラウザ間で動画による通信を可能にするための標準である。WebRTC では、動画の他に、Data Channel という、汎用の通信機能が利用可能である。この通信路を用いて、通常の Web アクセスに用いる HTTP (Hypertext Transfer Protocol) による通信を流すことが可能である。これにより、OS レベルの VPN を用いることなく、Web ブラウザのみで IP アドレスの交換が可能になる。
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