研究課題/領域番号 |
16H02812
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
Van・Meter Rodney 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 准教授 (90458977)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | Byzantine agreement / Quantum repeater network / 量子リピーター / 量子バザンチン将軍問題 |
研究実績の概要 |
平成28年度の成果として、分散量子アルゴリズムの解析による量子中継器ネットワークの機能管理手法を開発した。また、量子インターネット(大規模量子中継器ネットワーク)の実現に必要となる相互運用手法を開発した。さらに、量子中継器のハードウエア開発のためのエラー訂正手法を開発した。最後に、測定ベース量子計算やコンテナ船を利用した量子もつれの配送方法を開発した。具体的な内容を以下に記す。 ネットワーク上でフォールトトレラントシステムを作るためには、合意機能が必要となる。量子ビザンチン合意アルゴリズムは他の研究者らにより抽象的に定義されてきたが、我々は量子中継器ネットワークでの実装を目指したより具体的なアルゴリズムへと拡張した。 異なる任意の量子エラー訂正符号を用いたネットワーク同士を、フォルトトレラントな変換により接続する手法を開発した。必要な計算リソース量に関するシミュレーションにより、エラー自体を訂正する方法よりも、エラーが発見された通信リソースそのものを廃棄する方法の方が、本手法におけるエラー管理に適している事が明らかになった。また、本手法を用いる量子中継器のアーキテクチャを検討した。 量子インターネットの実現に向け、通信開始時におけるノード間での効率的なフィデリティ推定手法はきわめて重要となる。各ノードがリアルタイムで量子トモグラフィを行うことによりフィデリティを推定するアルゴリズムの提案と、光子を用いた量子通信でのフィデリティの推定効率の概算を行った。今後は、より能率的な手法を考案する予定である。 量子中継器ネットワークにおける帯域の拡張を目指し、コンテナ船を用いることで大量の量子もつれを直接配送する手法の提案を行った。また、量子ネットワークのボトルネック問題に対して有用な量子ネットワークコーディングと測定ベース量子計算を組み合わせたプロトコルの設計と性能分析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は複数のアルゴリズムの設計・解析を行う予定であったが、一つのみ完了している。代わりに、ネットワーク運用の前提となる基盤手法の開発を行った。科研費のテーマに関わる研究として、ジャーナル論文5本と査読付きワークショップ論文一本を刊行した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は複数の量子ネットワークのアプリケーションを解析し、APIを提案する。一つは量子時計同期アルゴリズムとする。時計の同期を行うには、タイミングをサポートするAPIが必要となり、それは暗号化のAPIとは異なるものになる。異なるAPIであることを実証するため、模擬プログラムの開発を行う。
|