研究課題
本研究課題では、大規模な情報指向ネットワークのためのトランスポート層プロトコル設計論を確立し、効率的なトランスポート層プロトコルを実現する。そのために 3 つの研究課題 (T1) 流体近似法を用いたフローダイナミクスの記述、(T2) トランスポート層プロトコルの設計、(T3) 設計したプロトコルの妥当性および有効性の検証に取り組む。平成 28 年度は、まず、大規模情報指向ネットワークのためのトランスポート層プロトコル設計のための基盤となる、フローレベルの流体近似モデルを構築した。まず、情報指向ネットワークとして、現在最も検討が進んでいる CCN (Content-Centric Networking) を対象とし、CCN における単純な AIMD 型ウィンドウフロー制御方式におけるフローレベルのダイナミクスを流体近似法によってモデル化した。TCP/IP とは異なり、情報指向ネットワークである CCN は、(1) 一対一ではなく多対一の通信である、(2) 仮想回線型ではなく要求 -- 応答型の通信である、(3) 送信側主導ではなく受信側主導の通信である、(4) エンド -- エンド通信ではなく経路上のルータがキャッシングを行う、という性質を有している。このため従来の AIMD 型ウィンドウフロー制御方式のモデル化手法をそのまま利用できない。本研究では、上記の (1) -(3) に対応できる新しいモデル化手法を考案し、実際には離散的に転送されるパケットの流れを、連続的なフローとして近似することよってミリ秒単位のフローダイナミクスを表現する DDE (遅延微分方程式) を構築した。
2: おおむね順調に進展している
申請書に記載した当初の研究計画に従って進展しているため。
課題T1において大規模情報指向ネットワークの流体近似モデルを構築することにより、理論的なアプローチによってトランスポート層プロトコルの設計が可能となった。そこで平成29年度以降は、、現代制御理論および動的拡散過程を応用することにより、CCNのための効率的なトランスポート層プロトコルを設計する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 謝辞記載あり 11件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件)
IJAACS Special Issue on Computation and Networks with Biological and Social Metaphors
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