研究課題/領域番号 |
16H02818
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山口 泰 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80210376)
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研究分担者 |
籔内 直樹 (籔内佐斗司) 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10376931)
舘 知宏 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50586740)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 形状処理 / 特徴線 / 遮蔽率 |
研究実績の概要 |
3次元形状データの処理や表示において,形状における特徴の保存や強調の重要性は広く知られている.これまで用いられていた特徴は曲率や曲率変化の高い場所であったが,それらを構造化して特徴線として扱う手法は限られていた.これは曲率変化の極大・極小という高階の微分量を扱う必要があるため,ノイズの影響による計算の不安定さを免れなかったことが大きな理由となっていると考えられる.本研究では,曲率の代わりに遮蔽率という積分量を用いることで,安定した特徴線の抽出法を開発し,人間の認知的な特徴との比較を試みるとともに,形状解析や設計など,さまざまな形状処理への応用を目指している. 本研究では,当初研究代表者らが提案したSurrounded Lines をベースに,算出の高速化と 安定化について検討する予定であった.しかし,研究の過程でSurrounded Lines の基礎となる遮蔽率以外の積分量についての検証の必要性に行き当たった.そこで積分量の系統的な分類や計算方法について整理を行い,実際の特徴線抽出への効果を検証することとした.一般的に曲面の局所特徴量を定義するための近傍球半径を大きくして広い範囲を扱えば,ノイズの影響を抑えられ,滑らかな特徴量が得られることは想像に難くない.平成29年度は,曲面近傍球に対して曲面との球内の積空間,球面の積領域,交差曲線,ガウスマップなどに関して,体積/面積/周長/最大径/最小幅などの積分量を定義するとともに,PCAやフーリエ変換を利用した解析を行った.結果として,近傍半径を小さくした場合,球面の積領域と遮蔽率を基本とする方法が比較的安定であることを検証できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は平成28~30年度の実施課題として計画された.初年度の平成28年度に基礎となる部分での計算手法に,比較的多くのバリエーションがあることが発見され たため,そのバリエーションに対応するために研究実施が全体としてしまった.とは言っても,当初予定していなかった新しい知見が得られており,単純に研究が遅れているというわけではなく,当初の計画遂行予定とは異なってしまったものの,内容的には当初の研究計画に相当する成果をあげているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定したテーマではないものの,研究成果は着実に上がりつつある.この調子で研究を発展させる予定である.
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