研究課題/領域番号 |
16H02822
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
滝沢 寛之 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 教授 (70323996)
|
研究分担者 |
片桐 孝洋 名古屋大学, 情報基盤センター, 教授 (40345434)
横川 三津夫 神戸大学, 先端融合研究環, 教授 (70358307)
南 一生 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, ユニットリーダー (70501998)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 性能最適化 / 機械学習 / 自動チューニング |
研究実績の概要 |
本研究ではプログラム中の潜在的に性能への悪影響が大きいアンチパターンを特定し、さらにはそれを改善する「性能最適化作業」の知能化を目指している。平成28年度の検討から、プログラムの構造などの静的情報だけではアンチパターンの特定や改善が困難であり、機械学習の適用可能な範囲は限定的であることが明らかになった。 そこで、平成29年度は、動的情報も用いて性能最適化作業の知能化を試みた。具体的には動的情報である性能プロファイル情報と、静的情報であるソースコードの構造情報の両方を用いて、効果的な性能最適化手法を予測する機械学習を検討した。その結果、静的情報と動的情報の両方を入力とする機械学習モデルは、どちらか一方のみを入力とするモデルよりも高い精度で有効な性能最適化手法を予測できることが明らかになった。 また、数値計算ライブラリにおける反復解法アルゴリズムにおいては、疎行列構造に応じた前処理方式の選択が性能に決定的な影響を及ぼす。しかし、その選択は高度な専門性が必要である。平成29年度、前処理選択の自動チューニングにおいて、ディープラーニングを活用した方式の提案と予備評価を行った。 さらに、平成29年度には静的解析ツールSTViewを地盤-建築物の地震動解析コードや乱流シミュレーションコードに適用し、コード全体のツリー構造が容易に把握できること、および初めてコードを扱う者にとって有益な情報が与えられることが明らかになった。この結果を用いて、地盤-建築物の地震動解析コードの並列化の指針が立てやすくなった。 性能最適化手法の知見の体系化にも引き続き取り組み、平成29年度には高並列化に関する問題点を6パターンに、ノード単体性能に関してはアプリケーションを6パターンに分類し、性能最適化技術をそれぞれのパターンについて体系化した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、静的情報に加えて動的情報も用いた機械学習を検討し、その有効性を評価することができた。その結果として、機械学習技術を用いることによって演算カーネルの実装選択や、反復解法アルゴリズムの前処理選択、コンパイラオプション選択等、性能最適化作業において熟練者が経験的に行ってきた判断の一部を機械学習によって代替できる可能性を示すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度に投稿した論文の査読に時間がかかっており、その成果の公開が遅れてしまったが、条件付き採録となっていることから条件をクリアすることで採録されるように努めることとする。
|