研究課題
なつかしさの機能と個人差に関して,認知的・神経科学的基盤を解明し,回想法等への応用のために,3班で研究を進めた。認知心理学班では,(a)市民対象の大規模調査を行い,なつかしさの特性・状態,自伝的-文化的側面の測定尺度を開発し,なつかしさの機能や加齢との関連を検討した。(b)高齢者と大学生を対象として,過去に対して肯定的-否定的かに基づいてペアを作り,思い出について会話させた。その結果,肯定的-否定的ペアの肯定的な人は,会話を「簡単ではない」と感じ,否定的相手に対して,よりネガティブな印象を抱いた。(c)刺激の分散-集中呈示時と評定時のなつかしい音楽が,短期的-長期的単純接触効果を促進するかを検討した結果,刺激集中呈示による単純接触効果の促進は,なつかしさ惹起のみでは不十分で,接触後のインターバルが必要であった。神経科学班では,(a)高校生と大学生を対象としたweb調査の結果,敏感性と資質的レジリエンス要因との関連におけるなつかしさ感情の媒介効果があり,なつかしさ惹起によって資質的レジリエンス要因の向上が示唆された。(b)なつかしさ惹起時の脳活動について,より質の高い解析結果を得るために,閾値レベル引き上げを検討した。さらになつかしさの脳活動が,快-不快感情惹起時の脳活動によってどの程度近似できるかという個人差を調べる際に,なつかしさと快-不快感情で差があった視覚野の脳活動の影響を最小化する解析を検討した。精神医学班では,(a)軽症アルツハイマー病患者における回想法の効果に影響する要因と神経基盤を解明するため,髄液バイオマーカーや神経心理検査,脳画像検査などを含む臨床データを蓄積,データベースを構築した。(b)回想法の効果を検討するため,日本の介入研究のメタ分析の結果, 認知症高齢者に対する研究ではグループ回想法による認知機能とひきこもりへのやや小さな効果が認められた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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