研究課題/領域番号 |
16H02869
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
駒谷 和範 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (40362579)
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研究分担者 |
武田 龍 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20749527)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 対話システム / ドメイン知識獲得 / 未知概念 / 暗黙的確認 / 質問生成 |
研究実績の概要 |
本研究課題では「話すほど賢くなる対話システム」の実現を目指している.具体的には,ユーザとの対話中に現れる未知語に関する知識を,ユーザとの自然な対話を通じて取得する.本年度は,料理に関する非タスク指向型対話において,未知の料理名のクラスを題材として研究を開始した.知識を獲得する際に単純に「○○って何ですか?」のような明示的確認要求を繰り返すのは,ユーザにとって煩わしく,対話を継続する意欲を削ぐと考えられる.このため,暗黙的な確認要求,つまり話題を継続させつつ確認したい内容を含める発話をシステムが行い,それに対するユーザの応答を見ることで知識を獲得する枠組みを新たに提案した. この枠組みの中で,まず未知語の表記からその所属クラスを機械学習により推定した.この際の推定を最下位クラスと中間クラスとの2つのレベルで行い,その結果に基づき暗黙的な確認要求を生成することで,対話を継続させつつ知識を獲得することを狙った.この際,推定結果の正誤を判定するための確信度に対するしきい値は,データをもとに決定した. 次に,この暗黙的確認要求に対するユーザの応答からその内容が正しいかどうかを推定する手法を開発した.まず確認要求に対するユーザの応答を,クラウドソーシングにより収集した.このデータを用いて,ユーザの応答から確認要求に含めたクラス名の正誤を推定する手法を開発し,その検証を行った.さらに,同じ確認要求に対する複数の抽出結果を用いてより確実に知識を獲得する手法について検討を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず全体像となる枠組みを提案したうえで,その中の要素技術についての研究を順に進めている.次年度に利用するデータの収集を終えており,また次に実施する被験者実験の設計に関する検討も進んでいる. 本年度はまず国際ワークショップで全体像を含む発表を行った.次年度は引き続いて国際会議などで成果をアピールしていく.
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今後の研究の推進方策 |
本年度収集したデータを用いて引き続き要素技術の開発を進めるとともに,新たに設計した被験者実験も実施する.また本研究課題で開発している技術を,非タスク指向型システムに組み込み公開することも検討する.現在この非タスク指向型システムの開発が想定よりも遅れているが,統合できれば,被験者実験ではなく実際の対話の中で提案手法の有効性を検証できる.さらには,現在テキスト入力を前提として研究を進めているが,これを音声入力に展開する研究についてもさらに検討を進める.
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