研究課題/領域番号 |
16H02870
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
平田 耕一 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (20274558)
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研究分担者 |
久保山 哲二 学習院大学, 計算機センター, 教授 (80302660)
井 智弘 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (20773360)
杉山 麿人 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (10733876)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 離散構造 / 距離 / 類似性 / 次元縮小 / 埋め込み / 基準創発 |
研究実績の概要 |
研究目的(1)「離散構造間の距離とカーネルによる概念選択」を達成するために,研究計画(A)「離散構造間の距離による関連度選択」,および,研究計画(D)「離散構造間のカーネルによる類似概念の選択」の一環として,根付きラベル付き木の葉を削除すると根付きパスになる根付きラベル付きキャタピラに対して,その編集距離の計算がノード数の3乗時間で可能であることを示してアルゴリズムを実装すると共に,さらに線形時間および2乗時間で近似する手法を提案した. 研究目的(2)「次元縮小と埋め込みによる概念選択」を達成するために,研究計画(B)「次元縮小による基準軸選択」,および,研究計画(E)「歪み保証の埋め込みによる概念選択」の一環として,再サンプリングによる焼きなまし法の効果を高次元データの次元縮小射影における情報検索において検証した.また,高次元ベクトルの次元縮小による概念選択に直接利用できるスケッチのビット幅の圧縮法を提案・実装し,その効果を検証した. 研究目的(3)「高次離散化空間と高次ベクトル空間における基準創発」を達成するために,研究計画(C)「高次離散化空間における基準創発」,および,研究計画(F)「高次ベクトル空間における基準創発」の一環として,二部グラフおける二部クリーク分割の各クリークを基準軸と捉えた基準創発として,頂点ではなく辺の二部クリーク(辺二部クリーク)分割を求める二部辺相関クラスタリングを新たに定式化し,それを解く確率的アルゴリズムを設計・実装した.また,特徴集合を基準軸と捉えて基準創発とみなした,一貫性に基づく特徴選択について,特徴の再選択手法を導入し,選択された特徴集合の相関関係としての基準軸創発の手法を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定した研究計画(A)-(F)に対して,これまでに(A)-(D)については順調に研究成果が得られており,今年度からは(E)と(F)についても業績が出始めている.(A)と(D)については,新たに,根付きラベル付きキャタピラを通して,木の構造的制限における限界が新たに解明できた.また,(B)と(E)については,再サンプリングによる焼きなまし法とスケッチのビット幅の圧縮法が,基準軸選択に寄与する可能性が高い.さらに,(C)と(F)については,特徴選択アルゴリズム,二部辺相関クラスタリング,テンソル分解など,新たな手法を提案することができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,研究目的(1)に対しては(A)離散構造間のカーネルによる類似概念の選択,研究目的(2)に対しては(B)歪み保証の埋め込みにおける概念選択,研究目的(3)に対しては(C)高次ベクトル空間における基準創発についての研究に取り組む. (A)離散構造間のカーネルによる類似概念の選択については,離散構造間のマッピングカーネルに着目する.マッピングカーネルは根付きラベル付き無順序木でもその計算が#P完全であるため,編集距離との soft minimum 近似の逆演算に基づくマッピングカーネルの計算手法を開発する.また,根付きラベル付き木のアライメント距離の時間計算量を改良することで,アライメントカーネルを新たに導入する.さらに,マッピングカーネルを,根付き木から根無し木,非巡回有向グラフ,グラフ,超グラフにも適用可能なように拡張する. (B)歪み保証の埋め込みにおける概念選択については,等高葉ラベル木のスケッチアルゴリズムを, 新たに根付きラベル付きキャタピラにまで拡張すると共に,これを一般の(根付き・根無し)ラベル付き木,グラフ,超グラフへと拡張する.また,スケッチのビット幅の圧縮に対する理論的解析にも取り組む. (C)高次ベクトル空間における基準創発については,頂点ではなく辺の二部クリーク(辺二部クリーク)分割を求める二部辺相関クラスタリングについて,その計算困難性や近似可能性について解明する.また,特徴集合を基準軸と捉えることで,一貫性に基づく特徴選択を基準創発とみなすことができるため,そこで用いられている対称不確実性による特徴の昇順列へのゆらぎの導入による効果を検証する.さらに,これまでに開発した 再サンプリングによる焼きなまし法と特徴選択を融合した基準軸創発の手法の開発にも取り組む.
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