研究実績の概要 |
階層型順逆強化学習モデルの開発 自由行動下での動物の探索行動データおよびヒト意思決定データへの、階層型逆強化学習法の適用を進めた。共同研究者から線虫の自由行動下での探索行動データの提供を受け、逆強化学習法を適用した結果、線虫の行動には記憶に依存した搾取戦略と記憶に依存しない探索戦略があり、感覚細胞を欠失した個体では前者が存在しないことを見出した(Yamaguchi, et al., to 2018)。動的環境において意思決定課題を行っている際のヒト行動データに階層型逆強化学習法を適用することで、メタな学習戦略を規定する逆温度を動的に変化させながら環境適応するヒト行動のモデル化を行った。このモデルを用いた順強化学習を行うことで、ヒトの動的な環境適応の模倣学習を可能とした。
ヒトイメージングからの視覚注意のデコーディング 視覚注意課題を対象に、ヒトの脳波(EEG)および機能的核磁気共鳴図(fMRI)からのデコーディング研究を進めた。ヒト動画観視時のEEGデータの解析を進めた結果、動画に含まれる特徴量(顕著度)がEEGデータに含まれる特徴量からデコード可能であることが分かった(Liang, et al., 2018)。また、視覚注意に関わる被験者間転移デコーディング法の開発を進めた。提案手法では、ヒト脳の構造的結合について非剛体変換を行うことで転移を可能とする。この手法は、従来の脳の構造に基づく被験者間転移デコーディング法よりも精度が高いことが分かった(Fuchigami, et al., 2018)。
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