モバイルマニピュレータの代表的なタスクとしてピックアンドプレイスに着目した。このとき、タスクを 1) 探索、2) 接近、3) 把持の 3 段階に分割し、各段階ごとに次のように初期条件を設定する。対象物体がカメラの視野内にない場合は 1)探索時、対象物体がカメラの視野内にあるが、アームが届かない位置にある場合は 2) 接近、対象物体がカメラの視野内にあり、アームが届く位置にある場合は 3) 把持に分類する。これらの初期条件をもとにロボットが周囲の状況を常に観測し、それに応じた動作を自律的に選択する。
接近時のモバイルマニピュレータの姿勢決定の課題として、対象物体が自身のアームによって遮蔽されるオクルージョン、対象物体のカメラからのフレームアウト、対象物体のステレオカメラの距離検出範囲外への逸脱によって、ロボットが対象物体の位置を検出できなくなる問題が挙げられる。
本研究では、一方のアームを作業用とし、もう一方にカメラを搭載した双腕モバイルマニピュレータの把持動作において、接近時の対象物体のオクルージョン回避、フレームアウト回避、ステレオカメラの距離の検出範囲外への逸脱回避に加え、特異姿勢回避、関節角限界回避を行う制御手法を提案した。作業姿勢の評価関数を定義し、それを元に Projected Gradient によって姿勢最適化を行うものである。タスクとして、実機によって対象物体のピックアンドプレイスを複数回繰り返し行い、提案手法を評価する。その際、ロボットが対象物体から十分離れ対象物体がロボットのステレオカメラの視野内に無い初期姿勢を複数設定し、各初期姿勢毎のピックアンドプレイスの成功率と姿勢の評価値の遷移を記録する実験を行った。本年度の成果を学術論文にまとめている段階である。
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