研究課題/領域番号 |
16H02885
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
喜多 泰代 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (00356875)
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研究分担者 |
植芝 俊夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (20356546)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロボットビジョン / 画像認識 / 柔軟物認識 / 知能ロボティックス / 自動ハンドリング / 測地線 |
研究実績の概要 |
H30年度は、2年目までに開発した測地線(geodesic line)を用いた衣類表面展開手法を拡張し、異なる方向から観測された複数距離画像を統合して展開図を作成する手法の開発を行った。具体的に、観測方向の大きく異なる距離画像データ間に、共通して観測される点が存在しその対応関係が既知の条件下での統合手法を構築した。観測方向ごとに、衣類表面上のn点に関して、2点間の測地線距離を算出し、n×nの測地線距離行列に記録し、異なる観測データ間の共通点を通じ、複数の測地線距離行列を統合して一つにまとめてから、これを同時に満足する、すべての点の配置を決定する。これにより、一方向からの観測では表面上の一部しか観測できない、大きな折れを有する衣類の表面展開も可能となることを、トレーナとズボンの実観測画像データを用いた実験で示し、国際会議で発表を行った。 また、観測3次元点群の境界が衣類の縁にあたるのか、もしくは、連続的な面が背後に回っている遮蔽境界であるかは、統合の要否を判定する重要な情報であるが、昨年度開発した手法により画素ごとに得られる判定結果をもとに、連続した線分単位での判定を行う手法の開発を指導する学生とともに行った。 さらに、高速な重み付けメディアンフィルタを3眼ステレオマッチングシステムに組み入れることにより,撮影された衣類と背景の境界の奥行き不連続を保存しつつ,640x480の視差画像をビデオレート(30fps)で生成する性能を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに開発した単一観測データを対象とした測地線算出手法をもとに、複数観測データの統合解析手法を開発し、実データを用いた実験でその有用性を示すことができた。また、こうした実験を通じ、異なる視点間で十分な数の特徴点対応を見つけることの難しさなど実応用における課題も明らかになり、比較的小さい視線方向の変化の距離画像を用いて共通観測部分を多くすることで、対応問題をより確実にするなど、新しい研究展開の方向性を明確にできた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは、複数の対応点が既知の仮定のもと、視線方向の大きく異なる距離画像間の統合を行ったが、実験結果を踏まえ、今後は「連続的に観測方向を変えながらのデータ統合」を行う方向で、新しい技術を開発し、手法を展開していく。人工データと実データの両方を用いた実験を行い、原理と実応用上の課題を明確に分けて手法の特性を分析する。
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