研究課題
R1年度は、3年目までに開発した手法、及び、実験により得られた知見を元に、「観測方向を変えながらのデータ統合手法」の開発を行った。衣類表面に必ずしも特徴的な対応点が存在しないことから、異なる観測方向間の統合には、特徴点対応ではなく、共通に観測される領域照合で対応付けを行う方針に転換し、このために、まず、輪郭のみを仮想展開していたこれまでの手法を、領域内部すべてを展開できるように改良した。具体的には、変形した衣類表面の3次元情報から面上に密なサンプル点をとり、近傍同士の2点間の3次元ユークリッド距離で測地線距離を近似することで、面上の点の展開図を獲得し、これらを頂点とするドロネー三角分割を用いてすべての観測点の展開形状を得た。異なる観測方向でそれぞれ算出された仮想展開図をそれらの共通観測部が最も一致するように、仮想展開平面上で統合することで複数観測方向の観測データを統合していく。実際の手順は、最も衣類表面が多く観測される方向からのデータを展開後、観測面の法線方向に基づき、次に観測すべき方向を自動算出し、その方向からの観測データの展開図を統合する、という処理を繰り返し、衣類の同じ一面全体の展開図を得る。衣類の変形シミュレータ機能を有するCGソフトで作成した人工データを用いて、その有望性を確認した後、実際にロボットアームで衣類を把持し、安価なRGB-Dカメラを用いた実験を多数行ったところ、実有用性も示された。これらの研究成果は国際会議、及び、国内会議で発表を行っている。観測3次元点群の境界が衣類の縁か、もしくは、連続的な面が背後に回っている遮蔽輪郭かは、統合の要否を判定する重要な情報であるが、昨年度まで開発した手法を改良し、局所的な特徴情報と大局的な全体形状情報の両者を使うような二重構造判定とし、より安定した判定結果が得られるようになった。これについては、学術誌で報告を行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of the 16th International Joint Conference on Computer Vision, Imaging and Computer Graphics Theory and Applications (VISAPP2021)
巻: 5 ページ: 910-918
10.5220/0010228209100918
ROBOMECH Journal
巻: 8 ページ: 1-12
10.1186/s40648-021-00202-8