研究課題/領域番号 |
16H02894
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
野坂 大喜 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (80302040)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 乳がん / 迅速診断 |
研究実績の概要 |
残存乳がん細胞3次元画像処理アルゴリズムの研究と組織型マルチパラメータ解析技術の研究として、少数の細胞クラスターや個々の細胞レベルでの核内3次元構造解析により乳がん細胞特有の形態学的特徴を抽出する3次元画像処理アルゴリズムと得られた形態データを基に残存乳がん細胞の組織型を考慮して悪性度判定するマルチパラメータ解析技術の研究を行った。がん細胞の特徴である核内不均一性とDNA量について3次元パワースペクトル解析を行った結果、癌細胞と正常細胞との間においてスペクトル強度に有意差が認められた。また、細胞周期関連タンパクを指標として蛍光解析を行ったところ、癌細胞クラスターと正常細胞クラスター間において有意差が認められた。これら形態情報ならびに蛍光解析情報を統合することにより、切除断端部の残存癌細胞の評価が可能であることが示唆された。一方、高度異型細胞クラスターとの分類においてはカットオフの設定が困難であった。そのため、残存癌細胞の検出において、他のバイオマーカーの併用が課題であることが明らかとなった。本課題については次年度実施のマルチミックス蛍光抗体法を用いた切除断端部残存乳がん細胞補助検出技術の研究において解決を図る必要がある。 また本研究結果を評価するため、癌細胞および正常細胞との比較を遺伝子レベルにて併せて評価したところ、癌抑制遺伝子およびmicroRNAの発現量に差異が認められたことから、切除断端部の残存癌細胞評価補助技術として併せて検証を行うことで高感度化かつ新技術としての開発可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元画像解析レベルにおいて、正常細胞クラスターと癌細胞クラスターとのマルチパラメーターによるカットオフ値を設定し、残存癌細胞の有無を判定可能となることが判明し、当該研究テーマである残存乳がん細胞検出技術として有用であることが明らかとなったほか、基盤技術として確立されたことからおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
残存乳がん細胞検出技術の確率においては微少癌細胞の残存や血管への浸潤の有無が問題として残っている。このことから血管やリンパ管等への浸潤についても検出可能な技術へと高感度化させる必要があり、新たに化学発光技術を用いるなど検証方法について検討を加える予定である。
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