研究課題/領域番号 |
16H02895
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
木賀 大介 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30376587)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 合成生物学 / 遺伝子ネットワーク / 空間パターン / 細胞間通信 / 人工生命システム / 人工遺伝子回路 |
研究実績の概要 |
一つの細胞が増殖し内部状態を多様化することに伴って形成される空間パターンの形成について、以下の諸要素が影響を与えると考えられる。1:細胞間相互作用。2:栄養の奪い合い。3:細胞成長速度の差。4:遺伝子発現ゆらぎ。5:集団内での位置とその安定性。マイクロ流体デバイスも用いる合成生物学アプローチにより、培養条件、反応速度定数やゆらぎの大きさを変更し、空間パターンの形成にこれら諸要素がどのように寄与するかを、生物実験およびモデリングの両面から理解する。細胞内部状態の多様化は、力学系の観点からは分岐点周辺での細胞群の内部状態の位置とばらつきによって支配されるため、同一のパラメタセットからなる系においても、試行ごとに空間パターンの差異が生じる。本研究では、この差異に注目した解析も行う。本年度は、これまでに実績のある、細胞間通信分子の濃度に依存して内部状態の安定性が決定される人工遺伝子回路を持つ細胞について、空間パターンの形成を顕微鏡により経時観察結果を解析した結果、空間パターンの中心に出現すると想定された細胞種が、中心から離れた部位に頻度高く出現してしまうことが明らかになった。これは、どの反応についてもゆらぎが大きすぎることに由来する可能性がある。また、オリジナルの設計では、通信分子の生産がその分子自身の濃度によるフィードバックにより調節されているが、このフィードバックを解除した効果を観察する実験系を立ち上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観察とシミュレーションは順当に進んでいるが、顕微鏡画像解析の結果、特定の細胞種の出現位置に意図しないばらつきもみられている。
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今後の研究の推進方策 |
予期しなかったバラつきに対応するため、ゆらぎを小さくした際のパターン形成をシミュレーションする。さらに。ゆらぎを小さくするために、遺伝子回路をコードするプラスミドのコピー数を減らす、また、コードするDNAをゲノムに組み込む。
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