研究課題
複数種類の細胞によって形成される空間パターンの形成は、多細胞生物の発生や微生物コロニーの発達の両方において共通してみられる本質的な生命現象である。一方、細胞集団での空間パターン形成を支配する因子の相関関係を解明することは、多要素が複雑に絡み合っているがために困難な状況が続いている。本研究では、細胞一個が増殖し各細胞の内部状態が多様化した結果としての空間パターンの形成について、安定性の分岐を起こすために各種パラメタを操作可能な人工遺伝子回路を持った大腸菌を構築し、その顕微鏡経時観察を行う。細胞間相互作用、栄養の取り込み、細胞集団内での位置とその遺伝子発現状態の安定性が、パターン形成の再現性や時間安定性にどのように関わるかを、モデルの解析結果と生物実験結果の比較を通じて理解することを目的とした。本研究で用いた人工遺伝子回路による細胞内部状態の多様化は、秩序パラメタの変化によって、システムの安定性が単安定から双安定に切り替わる、カタストロフィー理論の典型例の1局面に立脚している。この様相を一般化すると、双安定の後、さらにもう一つの単安定になることが数値計算から明らかになっていた。今回、さらなる数値計算では、単安定のまま、安定状態の位置が推移ししていくことも確認できた弱いプロモーターをいくつかデザインして人工遺伝子回路に組み込み培養実験を行ったところ、実際に、単安定のまま、安定状態の位置が推移ししていくことを確認できた。コロニーパターン形成のシミュレーションについてコードを解析し、通信分子の拡散を寒天培地でのコロニー形成に合わせ、また、成長速度や拡散速度係数を妥当なものに変更した。その結果、顕微鏡観察で見られたコロニーパターン計算機内に再現することができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Communications Biology
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https://doi.org/10.1101/803239